インタビュー

心不全、高齢化で増加 =6~7割、自覚症状なく―磯部光章医師

 厚生労働省の2014年患者調査で、国内の心疾患総患者数(傷病別推計)は172万9000人に上る。人口動態統計などによると、死因としても心疾患はがんに次ぐ2位を占める。特に高齢化に伴う心不全患者が急激に増えており、事態は深刻だ。2030年の患者数は130万人に達すると予測されており、感染症の爆発的流行になぞらえ「心不全パンデミック」とも伝えられている。心不全はどこまで予防できるのか早期診断や診療体制について、榊原記念病院の磯部光章院長に聞いた。

 ◇じわじわ進行「隠れ心不全」

 ―心不全が急増している背景は何か。
 磯部 生活習慣の変化も関係しているが、一番大きな理由は高齢化。心不全は心臓の働きであるポンプ機能が弱った状態のことをいい、主な原因は心筋梗塞と高血圧だ。高齢者が加齢に伴って慢性心不全を抱えているケースが多い。心不全というと、死と直結しているとイメージされやすいが、慢性心不全の場合、気付かないうちにじわじわと機能が低下する。

 ―患者に自覚症状はあるのか。
 磯部 心不全患者の6~7割は自覚症状がなく、症状が表れたときには、かなり進行していることが少なくない。これを多くの人に理解してもらうために、無症状の心不全を「隠れ心不全」と名付け、2010年の日本心不全学会の市民公開講座で発表した。

 ―心不全はどのように分類されているのか。
 磯部 心不全は、健康な人の心臓機能がいきなり低下する「急性心不全」、生活習慣の悪化などでゆっくり進行する「慢性心不全」がある。そして進行具合によって、がんと同じようにAからDまでのステージに分類される。分類は循環器医師の間では日常的に使われるが、専門が異なる医師や一般の人にはあまり知られていない。「隠れ心不全」は心不全の自覚症状はないが、すでに心臓の機能が低下している予備軍のことで
Bに該当する。

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