インタビュー

心不全、高齢化で増加 =6~7割、自覚症状なく―磯部光章医師

 ◇水分補給は適度に

 ―心不全と診断された場合、どのような治療が行われるのか。
 磯部 ステージAであれば、生活習慣の改善で様子を見る。糖尿病高血圧など既に病気がある場合、まずはその病気の治療を優先する。ステージBの人でも、BNP値が上がっている場合は、生活改善に加え、心臓を休めるために薬物療法を行う。主にβ遮断薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が使われる。薬で心臓を元の状態に戻すことはできないが、心臓の負担を減らして回復を見込むことができる。
 運動療法も重要だ。心臓の負担になるから運動はしない方がいいと思われがちだが、心臓に負担を掛けないためにも手足の筋肉を鍛えることが大切だ。筋トレなどの過激な運動ではなく、ウオーキング、水泳、ストレッチなど、有酸素運動を毎日行うことが基本だ。

 ―暑い時期に注意することはあるか。
 磯部 毎日のように熱中症のニュースがテレビで放映され、水分補給の重要性が指摘されるが、高齢者や隠れ心不全の人が水分を取り過ぎて急性心不全になって救急車で運ばれるケースは結構多い。脱水はもちろん良くないが、心臓が悪い人にとっては水の飲み過ぎも危険だ。通常は汗をかいて喉が渇いたときに飲む程度でいい。どれぐらい飲んでいいのかは人によって違うので、心臓の悪い人は主治医に水分量を相談するとよい。(ソーシャライズ社提供)


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