治療・予防

疲れ長引き、朝つらい
副腎疲労の可能性

 疲れが取れない、朝起きるのがつらい、病院に行っても原因が分からない―。こうした症状の原因の一つとして、最近、さまざまなホルモンを分泌している副腎の機能が低下してしまう「副腎疲労」の可能性が指摘されている。この副腎疲労について小西統合医療内科(大阪市)の小西康弘院長に話を聞いた。

疲れ取れず、朝つらい

疲れ取れず、朝つらい

 ▽ホルモン分泌の乱れ

 副腎は左右の腎臓の上部に一つずつあり、副腎から分泌されるホルモンは血圧や血糖値、免疫機能など体内の環境を一定に保つ重要な役割を果たしている。

 ストレスに対する耐久力を高めてくれる「コルチゾール」も、副腎から分泌されるホルモンの一つだ。コルチゾールの分泌量は朝が最も多く、時間とともに減っていく。ところが、ストレスが慢性化すると、終日コルチゾールが分泌され続け、副腎に負担をかけることになる。副腎が疲労すると、コルチゾールの分泌リズムが乱れ、さらに進むと分泌量が減少し、ストレスの影響を受けやすくなってしまう。

 小西院長は「副腎疲労により倦怠(けんたい)感や不眠、気分の落ち込み、生理周期の乱れ、甘いものが食べたくなるといった症状が表れます。朝、起きられなくなり、昼から夕方ごろになると少し元気になる人が多いです」と話す。

 ▽疲労度を確認

 副腎疲労かどうかを確認するには、まず、患者に唾液を1日に4回採取してもらい、コルチゾールの量を測る。その上で問診などを行って副腎疲労の原因を探る。「例えば、ストレスの影響を受けると、消化吸収に必要な消化酵素の分泌量が減り、腸内の環境が乱れます。すると腸内では悪玉菌による異常発酵が起こり炎症が生じます。この炎症も肉体的なストレスになる可能性が高く、副腎疲労の人に多く見られます」

 副腎疲労の治療は、主な原因であるストレスを解消するための生活上の工夫や、食事内容の見直しなどのアドバイスを行う。さらに、消化酵素の活性を高め、腸管の粘膜の炎症を改善するサプリメントなども使う。

 小西院長は「最近、副腎の疲労度を診断する医療機関も増えています。原因不明の倦怠感が続くようであれば、一度、そうした医療機関に相談してみてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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