CDIメディカル医療インサイト

(第12回)高齢者に食事指導をする重要性
低栄養が要介護に至らないために

表1

 一方で、保険内外を問わず、地域において住民が気軽に栄養相談や指導を受けられる場を提供しようとした取り組みもあります。公益社団法人日本栄養士会では「栄養ケア・ステーション」事業を展開しています。同事業では、栄養相談や保健指導といった栄養管理、調理指導や献立づくりといった食事管理を行っており、ステーションは栄養ケアを提供する地域密着型の拠点として位置付けられています。18年度から「栄養ケア・ステーション認定制度」を設け、地域住民が栄養ケアの支援・指導を受けることのできる拠点を整備する取り組みが行われています。

 ◇ドラッグストアの取り組み

 ドラッグストアや訪問看護、在宅療養支援を展開するスギ薬局グループでは、約10年前から管理栄養士を採用。グループ内の薬剤師や看護師などとの多職種連携により、地域住民の病気予防の担い手となるべく、積極的に取り組んでいます。

 ドラッグストア店舗に管理栄養士を配置し、地域の方々へ栄養ケア領域でのサポートや栄養相談に対応する体制を整備、訪問栄養指導も行っています(医療機関と連携もしくは保険外で実施)。栄養指導の中で、「食事がうまくのみ込めない」といったご相談があれば、薬剤師や言語聴覚士と連携し、薬剤の形状変更提案、のみ込みに関する相談にもつなげるなど、在宅高齢者への多角的なサポートに取り組んでいます。

店頭に並ぶ介護向けの食品(写真はイメージです)

 独居高齢者や老老介護も増える中、必要に応じて栄養補助食品等を提案するなど、各患者の生活状況に合わせ、具体的で現実的なソリューションを管理栄養士が提案しています。また実際に目的に合わせた食事を冷凍便で自宅に届ける「スギサポdeli」も展開。チャット形式での栄養相談のほか、医師や薬剤師への健康相談にも対応しています。

 ◇在宅高齢者の栄養ケア充実に期待

 高齢化が進行する中、在宅高齢者への栄養ケアが必要なケースは増加するでしょう。しかし、その重要性はいまだ一般の方々に広く認識されていないように感じます。また栄養食事指導の実施に当たっては、医療保険・介護保険の要件も必要な方々に広く対応できるものではない実情があります。

 国が25年に向けて進める医療提供体制の再構築では、在宅医療の充実、入院診療の在宅化が掲げられています。地域で療養する患者が増えることが予測される中で、必要な方に広く栄養ケアが対応できるよう、保険内外ともに提供体制が整備され、サービスが充実することを期待します。

(CDIメディカル・谷明日美)

 【用語説明】
 フレイル=加齢とともに運動機能や認知機能などが低下し、複数の慢性疾患などの影響もあって、心身の脆弱性が出現した状態。一方で適切な介入・支援によって生活機能の維持向上が可能。健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味する。

 サルコペニア=加齢や疾患により筋肉量が減少すること。握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」を指す。

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