一流に学ぶ 「美と健康」説くスポーツドクター―中村格子氏
(第3回)
手術に明け暮れ、外来で疲弊
予防の大切さに気付き、「原点」に
◇患者の悲しそうな顔に接して
ある時、転倒して骨折した患者が、救急車で運ばれてきた。中村氏が1カ月前に診察し、転倒予防につえを使うよう指導した高齢の女性だった。「先生ごめんね、転んじゃった」と泣かれ、大腿(だいたい)骨頸部(けいぶ)骨折の手術を行った。女性は家に帰れるように一生懸命にリハビリに励み、やっと車いすに乗れるようになった。
「これからもっと高齢者が増えていくのに、こんなことを続けていたら、日本経済は破綻する。本来は、転ばないような指導をして、治療よりも予防にお金を使った方がいいのではないか」と考えるようになった。その思いが、のちにメディアを通じて広く一般向けの啓蒙(けいもう)活動を展開する原点となった。(ジャーナリスト・中山あゆみ)
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(2018/07/26 07:05)