一流に学ぶ 「美と健康」説くスポーツドクター―中村格子氏

(第10回)
クリニック開業で理想を追求
甘くなかった経営、次第に好転


 ◇「ピンチをチャンスに」と打って出る

 開業して1年で、スタッフは総入れ替えとなった。人件費の安い20代の新人ではなく、経験豊かな40代以上を中心に採用すると、状況が好転し始めた。この間、中村氏は、スタッフを減らそうと思ったことは一度もなかった。

 

クリニック2周年記念イベントでのセミナー風景
「やっぱり人は力だから、人を減らせば先細りになるだけ。困ったときこそ優秀な人を雇おうと思ったんです。老舗の若女将(おかみ)をしていたときに、経営者が従業員をどんどん減らしていって、企業としてのパワーがなくなっていったのを見た経験があるので、ピンチがチャンスと思って打って出ました。何とかなる、絶対何とかなると信じていました」

 人が集まるようなイベントを企画したり、在日外国人のサイトでPRして外国人の患者を増やしたりするなど、人脈を使って打てる手は次々に打った。

 「土地柄もあって外国人の患者さんが2割くらいいるのですが、最初はスタッフが英語を話せなくて、英語の勉強会をやりました。みんなが努力して、全員が英語を話せるようになったんですよ」

 荒波を乗り越え、開業から5年目の現在、優秀なスタッフに恵まれ、理想のクリニックに近づくことができた。(ジャーナリスト・中山あゆみ)

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◇中村格子氏プロフィルなど

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