一流に学ぶ 「美と健康」説くスポーツドクター―中村格子氏

(第11回)
スタイル維持の努力欠かさず
医師としての「説得力」意識

 ◇バレエ学んだ経験も生きる

 丁寧に問診し、指導すれば時間はかかるが、それに見合った保険点数は付かない。「本当にもうからないけど、日本の医療システムへの挑戦だ、くらいに思ってやっています」

 日本オリンピック委員会(JOC)のスポーツドクターとして新体操を担当した経験が、バレエダンサーの診療に役立っている。当時は新体操の動きを学ぶために、自らバレエスタジオに通っていたこともある。

 「新体操とバレエは同じ用語を使います。ダンサーなら『脚を平行にして開いてスクワットして』というより、『6番から1番に開いてプリエして』、『片足立ち』よりも、『パッセ』と言った方が伝わりやすい。そういう言葉を分かってくれる先生ということで、より信頼してもらえたように思います」

 長身で均整の取れた現在のプロポーションは、20代後半から変わっていないという。

 「昔、外来である先輩の先生が、膝の痛い患者さんに『ちょっと痩せた方がいいよ』と言ったら、『先生には言われたくない』と言い返されたのを見たことがあり、大きなヒントを得ました。例えば、化粧品売り場では、きれいな顔の女優のポスターを見て、女性たちはこの化粧品を使えば、こんなにきれいになれるかもしれないと思うわけですよね。医師がある程度説得力のある体だったら、その言葉やアドバイスに患者さんは付いてくると思ったんです」(ジャーナリスト・中山あゆみ)

←〔第10回〕クリニック開業で理想を追求 甘くなかった経営、次第に好転

→〔第12回 セルフケアの方法広めたい  尽きない「妄想」の果てに

◇中村格子氏プロフィルなど

  • 1
  • 2

一流に学ぶ 「美と健康」説くスポーツドクター―中村格子氏