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日本人の8割の鼻が曲がっている?~みんな知らない鼻の悩みとは~ 【第2回】鼻中隔湾曲症の仕組みを解説①

 今回から2回に分けて、「鼻中隔湾曲症」について詳しく解説していきます。鼻中隔湾曲症は、鼻づまりや鼻血、さらには副鼻腔炎といった症状を引き起こす病気で、私たちの日常生活に大きな影響を与える可能性がある呼吸器系の疾患です。

 日本人の8割は鼻が曲がっていると言われているため、この記事を通じて、鼻中隔湾曲症について正しい理解を深め、適切な対処法や予防法を学んでいただければと思います。

鼻中隔湾曲症は、鼻の穴の間の仕切りである鼻中隔が曲がっている状態(イメージ画像) 引用:モーニングクリニック六本木

鼻中隔湾曲症は、鼻の穴の間の仕切りである鼻中隔が曲がっている状態(イメージ画像) 引用:モーニングクリニック六本木

 ◇日本人の8割が持つ鼻の悩み

 そもそも鼻中隔湾曲症とは、鼻の中で左右の鼻腔を仕切っている「鼻中隔」と呼ばれる部分が曲がってしまう状態を指します。統計によれば、日本人の約8割が鼻中隔湾曲症の症状を抱えているとされます。まずは、鼻中隔についてや、鼻中隔湾曲症の種類、日本人がなりやすい理由を説明します。

 ◇空気の通り道

 鼻中隔は鼻の中央を仕切る薄い壁で、左右の鼻腔を分ける役割を果たしています。鼻から吸い込んだ空気は、鼻中隔によって左右に分かれて体内に取り込まれるため、正常に機能しているときはスムーズに呼吸することが可能です。しかし、鼻中隔が湾曲すると、鼻腔が狭くなり、鼻づまりになりやすいほか、鼻腔内の粘膜が乾燥しやすくなるため、鼻血が頻繁に起こる可能性もあります。

 ◇曲がる位置や湾曲の形状により多数の種類

 鼻中隔湾曲症には、「上方型」「下方型」「K字湾曲(くの字)」「L字湾曲」「S字湾曲」「C字湾曲」などの種類があります。

 鼻中隔湾曲の状態は、局所的か全体的かで多様性があり、それに応じて症状の表れ方も個人差があります。湾曲の位置や程度によっては軽微な影響にとどまることもありますが、日常生活に支障を来す場合は治療を検討する必要があります。

 ◇日本人の多くは骨格による

 日本人に鼻中隔湾曲症が多い理由として、骨格の構造が挙げられます。日本人は他の人種に比べて、骨格が小さく、鼻の内部も小さく狭いため、鼻中隔が曲がりやすいです。また、現代の生活環境において、アレルギー性鼻炎副鼻腔炎などが増えていることも鼻中隔湾曲症を引き起こす一因となっています。

鼻中隔湾曲症は生活の質(QOL)を大幅に低下させる(イメージ画像)

鼻中隔湾曲症は生活の質(QOL)を大幅に低下させる(イメージ画像)

 ◇鼻中隔湾曲症がもたらす日常の影響

 鼻中隔湾曲症は、日常生活にさまざまな影響を及ぼすことが多いです。ここでは、鼻中隔湾曲症がもたらす影響について、詳しく説明します。

 <鼻づまり・鼻呼吸のしづらさ・鼻血>

 鼻中隔湾曲症の代表的な症状として挙げられるのが、鼻づまりと鼻呼吸のしづらさです。鼻腔内の空気の通り道が狭くなることで、呼吸時に十分な酸素が取り込めなくなります。この状態が続くと、鼻で呼吸することが困難になり、次第に口呼吸が増える傾向にあります。また、口呼吸が習慣化すると、口腔内が乾燥しやすくなり、その結果、風邪や感染症にかかりやすくなります。

 また、粘膜が引き延ばされて弱くなり、鼻血が出やすいのも特徴です。加えて、アレルギー性鼻炎が悪化しやすい、慢性副鼻腔炎の悪化や再発を起こしやすいなどもあります。

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