こちら診察室 知ってる?総合診療科

感染症治療の最前線 
「原因不明の発熱」を診る
【知ってる?総合診療科9】

 幸い、世界保健機関(WHO)など世界的な組織がさまざまな情報を出してくれるので、「ある日突然、謎の疾患の患者が診察室に」という例はほとんどなく、ある程度準備をして患者に向き合えるようになっています。それでも総合診療科は他の臓器別診療科よりも感染症に対して神経質といえます。 

新型コロナウイルスの顕微鏡写真(国立感染症研究所ホームページより)

新型コロナウイルスの顕微鏡写真(国立感染症研究所ホームページより)

 ◇新型コロナかも… 

 例えば、2020年1月、こんなことがありました。フランスへの家族旅行後に発熱が続いた30代男性が受診したのですが、発熱以外の症状がなく、旅行に同行した家族には症状がありません。そこで原因を探るため胸部CT検査をしたところ、両側下肺野に影が認められました。

 しかし、たんやせきなど肺炎特有の症状はなく、CTはウイルス性肺炎を疑う陰影です。 

 診察する側もされる側も当時中国で流行し始めていた「新型コロナウイルス」が思い浮かびました。しかし、国内感染はまだ報告されていないタイミングで、訪問先はフランス。中国人団体客も見かけなかったということでした。

 感染症科に相談の上、「まずは1週間様子を見ましょう。もし具合が悪くなればすぐに受診してください」という結論になりました。 

時にはPCR検査にも対応する平山陽示教授

時にはPCR検査にも対応する平山陽示教授

 幸い症状も悪化せず、1週間後の受診で解熱しており血液の炎症反応も正常化していました。これが中国湖北省への渡航者だったら感染症科や保健所も巻き込んで大騒ぎになるところでした。

 このようなことがあるので、総合診療科と感染症科は常に連絡を取り合っています。ある意味、非常にシビアな診療科なのかもしれません。(東京医科大学臨床教授 平山陽示) 

平山陽示氏(ひらやま・ようじ)
1984年東京医科大学卒。88年米国ミシシッピー州立大学生理学教室留学。東京医大第2内科講師、准教授など経て2012年臨床教授。11年東京医大病院総合診療科科長、12年から20年まで卒後臨床研修センター長兼任。2000年から禁煙外来を担当している。循環器専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医、禁煙専門医、産業医。

  • 1
  • 2

こちら診察室 知ってる?総合診療科