こちら診察室
東京慈恵会医科大の現場から
女性のがん患者で最も多い乳がん。食生活や生活習慣の変化を背景に患者が増え、一生の間に11人に1人が発症する時代になりました。特に40代以降に目立ちますが、20代でかかる人もいます。仕事で働いたり、家庭で子育てしたりしながら闘病している女性も珍しくありません。
しかし、乳がんは5年生存率が比較的高いがんで、治療も日進月歩。治療の基本は手術、薬物療法、放射線療法で、遺伝子レベルでがんの発症・増殖メカニズムの解明が進んだ結果、薬物療法で従来型の抗がん剤に加え、ホルモン療法薬や分子標的療法薬の選択肢も広がっています。
だからこそ、民間療法に惑わされることなく、学会の診療ガイドラインなどが安全性と有効性を認めた標準的な治療方法を知る重要性も増しています。今回の連載は、東京慈恵会医科大学(東京都港区)の附属病院でチーム医療に当たる医師たちが交代で執筆します。乳がんに関する正しい知識と最新情報を得て、理解していただければ幸いです。(了)