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【特別編】乳がん患者、将来の妊娠の可能性は
「生殖補助医療」始める選択も 東京慈恵会医科大学の現場から

  乳がん患者は若い世代も多く、将来の妊娠・出産を希望する人は珍しくない。がん治療は不妊につながるリスクがあるが、妊娠するための力(妊よう性)を温存するためには「生殖補助医療」という選択肢もある。

 東京慈恵会医科大学附属病院(東京都港区)で「がん生殖外来」を担当する岸裕司准教授は「妊娠・出産の希望は切実な問題。がん患者さんであっても、生殖補助医療により将来の妊娠を期待できることもある。がんになったからと言って直ちに妊娠を諦めるのではなく、治療開始の前にまず私たちに相談してほしい」と話す。

 ◇晩産化も「がん生殖医療」の背景に

私もいつか母親になれるかな…

 日本の乳がん患者は増え続け、今や女性の11人に1人が一生の間にかかる。20代~40代で発症する患者も多く、近年の晩婚化・晩産化の影響もあって「子どもを産みたい」と望む人たちがいる世代と重なり合う。

 同病院の「がん生殖外来」は、乳がんに限らず、男性も含め、小児がんや血液がんなどさまざまながんの患者の妊よう性温存に関する相談に乗る。岸准教授によると、データのある2014年以降、今年前半までの約7年半の間に295人から相談を受けた。

 平均年齢は33.3歳で、最年少は12歳、最高齢は58歳。そのうち68人が乳がん患者で、「平均年齢は38.8歳、9割以上がお子さんのいない方だった」という。実際に卵子を採取して生殖補助医療を始めたのは、相談者の約2割に当たる13人だった。

 「患者が妊娠を希望しても、妊娠を勧められる場合と勧められない場合がやはりある」と岸准教授。その判断材料の一つは乳がん患者の病状の見通し、もう一つは年齢と卵巣機能から見た妊娠の確率だ。

 ◇転移のある患者には勧めない

 「乳がん治療は最優先。その妨げにならないように妊よう性温存を考える」と岸准教授。「ステージⅣの患者、遠隔転移のある患者は、生殖補助医療を行うタイミングもなく薬物療法が続く形になるので、妊娠は勧められない」と医師の立場を説明する。

 それ以外の乳がん患者では、どういう病状で今後どういうがん治療を受ける見込みかに加え、年齢と卵巣機能の状態に基づいて、治療後の自然妊娠が可能なのか、生殖補助医療を勧められるかどうかといった判断が下される。


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