宮崎総一郎 医師 (みやざきそういちろう)

近江草津徳洲会病院

滋賀県草津市東矢倉3-34-52

  • 睡眠外来
  • 中部大学特任教授

耳鼻咽喉科 心療内科 内科

専門

睡眠学教育、睡眠時無呼吸症候群、鼻呼吸障害と睡眠

宮崎総一郎

1981年に鼻呼吸障害が睡眠にどのような悪影響をもらすかについての研究をスタートさせて以来、特に小児のいびきと成人の睡眠時無呼吸に関する病態研究と治療に従事してきた睡眠医療のエキスパート。現在は滋賀医科大学睡眠学講座で特任教授をつとめている。また「眠りの森」事業を通じて、社会への睡眠知識の普及・睡眠指導士の育成・睡眠教育の講演などをおこない、睡眠の大切さを世の中に発信しつづけている。2013年度より放送大学で「睡眠と健康」の講義開始。日本睡眠教育機構理事長である。

診療内容

2005年に経済産業省の支援を受けた「眠りの森」事業を通じて、社会への睡眠知識の普及・産学共同事業をおこなった宮崎医師。以後も一部の事業を継続し、各地域にて睡眠教育の啓発につとめている。また2009年4月より、文部科学省の支援を得て、わが国で初めての睡眠学概論を開講。睡眠学教育、啓発活動、睡眠指導士育成、睡眠障害の包括的医療に学内外で取り組んでいる。2013年4月より、放送大学で「睡眠と健康」の講義を担当。そんな宮崎医師に睡眠時無呼吸症候群についてうかがってみた。
「睡眠時無呼吸症候群は30年ほど前から知られている病気ですが、近年とくに増加傾向にあります。ある調査では働く世代の男性のうち14%が羅患しているという報告があるほどです。ただ、この病気はいびきや無呼吸はかなりの頻度で見られるのですが、眠気以外の自覚症状がほとんどないため、本人が気づくことが少なく、家族などに言われて病院にやってくるというケースが多いです」宮崎医師によれば、違う病気と勘違いしてしまうことも少なくないという。
「たとえば、ある患者さんは日中眠くて、何をしても気力がわかず、心療内科を受診したところ、軽いうつ病だと診断されました。違う患者さんは血圧が高くなり夜中にトイレに何度も起きるようになるなどしたため、循環器科と泌尿器科で診てもらったそうです。しかし、血圧も夜間頻尿もなかなか治らない。そこである時、病院に睡眠外来があるのを見つけ受診したところ、睡眠時無呼吸症候群がわかったのです」
睡眠時無呼吸症候群の原因はさまざまで、肥満、あごが小さい、扁桃肥大などがある。そこで、患者が本当に睡眠時無呼吸症候群なのかどうか、検査して診断する。
「睡眠外来では、近畿はもとより全国から検査・治療を希望する方が見えられます。この病気の診断には睡眠ポリグラフ検査が欠かせません。睡眠ポリグラフ検査とは睡眠脳波、筋電図、心電図、胸腹部運動、動脈血酸素飽和度、その他を連続記録するものです。センサーを多数装着しますが、苦痛をともなう検査ではありません。この検査結果と問診などをあわせて、総合的に診断するのです」
宮崎医師によれば、睡眠時無呼吸症候群で注意したいのは、生活習慣病との関連だという。
「睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病ととても深い関係にあります。たとえば、睡眠時に無呼吸がある人は、ない人に比べて糖尿病で1.5倍、高血圧で2倍、心疾患で3倍、脳血管疾患にいたっては4倍もリスクが高くなるのです。寝始めに軽いいびきをかくぐらいなら問題ありませんが、一晩中苦しそうないびきをかくようであれば、一度専門医に相談することをお勧めします」
では、実際の治療はどのようなことがおこなわれるのだろうか。
「まずポピュラーなのがシーパップ治療です。これは鼻にマスクを装着し、機械から空気を送り、その圧力で気道を広げ、呼吸の停止を防ぐものです。さきほどの、うつ病と診断された患者さんもこの治療を開始したところ、すぐに効果があらわれて日中の眠気や無気力感がなくなりました。扁桃肥大やあごの大きさに問題がある場合は、手術をして原因を取り除くこともあります」
今やわが国の3人に1人が睡眠に関わる問題を抱えていると、宮崎医師は語る。宮崎医師のもとには、睡眠時無呼吸症候群の患者だけではなく、不眠に苦しむ患者も多くおとずれ、悩みを訴える。睡眠不足は仕事や勉強の能率を低下させるだけでなく、労働災害や交通事故のリスクを高める。だからこそ、しっかりと睡眠についての正しい知識を広めたいと宮崎医師は言う。医療者や一般の人を対象に睡眠健康指導士の養成をしているのも、その一環である。そして宮崎医師は「国民全員がよい眠りを得ることで日本を元気にしたいです」と最後に付け加えた。

医師プロフィール

1954年生まれ、愛媛県宇和島市出身
1979年 秋田大学医学部卒業
1985年 秋田大学大学院博士課程修了、医学博士
1988-1989年西ドイツ留学
1989-1991年アメリカ合衆国留学
1992年 国立水戸病院耳鼻咽喉科医長
1998年 秋田大学医学部耳鼻咽喉科助教授
2004年 滋賀医科大学睡眠学講座教授
2012年 放送大学客員教授兼務
2016年 中部大学生命健康科学研究所特任教授