山口佳寿博 医師 (やまぐちかずひろ)

東京女子医科大学病院

東京都新宿区河田町8-1

  • 睡眠科

呼吸器科 内科

専門

睡眠時無呼吸症候群、呼吸器

山口佳寿博

2007年に開設された、大学病院では珍しい外来専門の日暮里クリニックでクリニック長を10年務めた。大学病院の形態ではむずかしい、各分野の慢性疾患に対する先端・専門医療をきめ細かに行い、患者個々人にあった長期の医療計画を確立し、ゆとりある空間で治療に専念してもらうことをめざし実践していた。山口佳寿博医師の専門は呼吸器で、高齢者に多いCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療には定評がある。喫煙率と高齢化が進む日本ではさらに増加が予想されるため、早期発見・早期治療に努めている。

2017年3月で日暮里クリニックは閉院となり4月より東京女子医科大学病院睡眠科にて睡眠時無呼吸症候群(SAS)とそれに合併する呼吸器疾患(COPD)などの診断、治療を担当している。

診療内容

COPD(慢性閉塞性肺疾患)はタバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患である。WHOの統計では世界の死亡原因の第4位にランクされ、今後その患者数と死亡率がさらに高まることが予想されている「特に喫煙率が高く、高齢化社会の日本では、患者数、死亡率とも増加することが確実で、将来大きな問題になることが懸念されています」と山口医師は話す。
「40歳以上で、喫煙歴が長く、坂道を歩いたり、階段を上り下りしたり、体を動かした時に息切れを感じる、あるいは咳や痰が慢性的に出る場合には、COPDがあるかもしれません。COPDは空気の通り道である肺の中の気管支やその先にある肺胞に炎症があり、ゆっくり壊れてしまった結果、呼吸機能が低下してしまう疾患です。近年は肺だけの炎症にとどまらず、骨格筋機能障害、栄養障害、骨粗鬆症、心筋梗塞や脳血管障害などの併存症をともなう全身性の炎症性疾患と考えられています」と山口医師。
「COPDにあってもう一つ注意しなければならない合併症に肺がんがあります。COPDの病変自体が肺がんの発生母地になりますのでCOPDの患者さんは禁煙に成功したとしても、その後の肺がんの発症に注意しなければいけません。その意味でCOPDに罹患した患者さんは禁煙したことに安心せずその後の定期的経過観察を受けるようにして頂きたいと思います」と山口医師は話す。
診断にはスパイロメトリ-と呼ばれる呼吸機能検査が必要となり、重症度は呼吸機能の数値と息切れの程度、憎悪の頻度、合併症の有無などで総合的に評価する。ただ、一般の人達にとって呼吸機能の数値を理解するのは難しい。そこで、“呼吸機能の値を年齢に変換して患者さん達に伝える方法、いわゆる“肺年齢”という指標が近年提出された。しかしながら、従来の肺年齢計算式には問題があり、臨床の現場で使用するには色々と差し障りがある。この問題を解決するため山口医師らの研究グル-プは新たな肺年齢評価法を開発した。「この新たな評価法によって算出した肺年齢をもとにCOPDの重症度を患者さん達に判りやすく伝達していきたい」と山口医師は言う。
治療の基本は禁煙である。また、増悪を避けるために、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種を勧めている。さらに「気管支拡張薬や吸入ステロイド薬を基本とした薬物療法、呼吸リハビリテ-ション(運動療法を中心に、日常生活や栄養の管理を指導)や在宅酸素療法を行います」と山口医師は説明している。この10年の間に長時間作用型の気管支拡張薬、吸入ステロイド薬が種々開発された。これらの薬物を組み合わせた配合剤も使用できるようになった。現在も配合剤の開発は積極的に進められている。この結果、COPDに対する薬物療法の選択肢は大幅に増え、これらの新薬によってCOPDの増悪、呼吸機能の経年低下が抑制されることが示された。以上に加え「今後のCOPDに対する治療戦略として“生命予後の改善”“肺がんの発症予防”を目的とした治療法の確立が重要な課題です」と山口医師は話している。

医師プロフィール

1979年3月 慶應義塾大学大学院医学研究科修了
1979年4月 慶應義塾大学医学部助手
1982年3月 ドイツMax-Planck実験医学研究所留学
1987年12月 東京医科大学第一内科講師(非常勤)
1991年4月 慶應義塾大学医学部講師
1998年4月 慶應義塾大学病院肺機能室室長
2000年4月 慶應義塾大学医学部助教授
2000年4月 慶應義塾大学病院呼吸循環器内科診療副部長
2004年10月 佐野厚生総合病院副院長
2010年3月 東京女子医科大学教授
2010年3月 東京女子医科大学東医療センター日暮里クリニック・クリニック長
2010年6月 東京女子医科大学付属青山病院副院長
2017年3月 東京女子医科大学東医療センター日暮里クリニック閉院
2017年4月 東京女子医科大学病院 睡眠科