和泉雄一 歯科医師 (いずみゆういち)

東京医科歯科大学歯学部附属病院

東京都文京区湯島1-5-45

  • 歯周病外来 先進歯科診療センター
  • 教授 センター長

歯科口腔外科 歯科

専門

歯周病、歯周治療、歯周組織再生治療、歯科インプラント治療、生体材料

和泉雄一

歯周病が全身に及ぼす影響がまだ解明されていなかった頃から、いち早く歯周病の研究を始め、テレビや雑誌のメディアでも熱心に啓発活動を行っている和泉雄一歯科医師。日本歯周病学会の理事長を務めるなど、日本の歯周病研究・治療において中心的な役割を果たしてきた。難治性の歯周病治療実績が豊富で、各種外科手術のほか、レーザーやLEDを利用した抗菌的光線力学療法にも取り組んでいる。450を超えるインパクトファクター(文献引用影響率)が裏付ける通り、研究実績も豊富に持つ。

診療内容

かつては、進行すれば抜歯するしかないとされてきた歯周病。今では治療が大きく進化し、再生治療が可能な時代となった。「歯周病が重度になり、歯槽骨がかなり溶けてしまった状態では、抜歯せざるを得ないことがあります。しかし、抜歯はあくまでも最終手段です」と和泉歯科医師は話す。
歯周病に対してまず行う治療は、口腔清掃指導です。次に歯垢(プラーク)や歯石を除去する「スケーリング」だ。歯垢・歯石が歯周ポケットの奥まで及んでいる場合は、器具を歯周ポケット内に差し込んで、歯根面を滑沢にする「ルートプレーニング」も行われる。スケーリングやルートプレーニングで取り除けない場合は外科手術を実施。外科手術のうち頻度が高いのは、歯肉を切開して歯垢・歯石を歯根面から取り除く「フラップ手術」だが、破壊された組織を復活させる「歯周組織再生治療」を同時に行うケースも増えている。

現在行われている歯周組織再生治療には、「GTR法」「エムドゲイン療法(バイオ・リジェネレーション法)」がある。GTR法では、歯肉と歯周組織の間に人工の膜を入れて組織の土台を再生する。エムドゲイン療法は、歯周組織の再生を促す再生材料を、歯根の表面に塗る方法。2016年12月には、歯周組織再生剤(一般名トラフェルミン、商品名リグロス)も発売され、「歯周組織再生治療の選択肢が増え、さらなる進化が期待されます」と和泉歯科医師は話す。

しかし、歯周病を治療しても根治するのはなかなか難しく、再発しやすいという問題も残る。そこで大切なのが予防であり、第一は自分に合った正しい歯磨きにある、と和泉歯科医師は述べる。「丁寧な歯磨きを続ければ、ほんの数週間で口腔内の炎症が治ります。私も学生時代、この事実を知って非常に驚いたものです。歯磨きは、1回10分間程度かけて、1本1本を丁寧に磨いてください」。歯科医院で適切なブラッシング指導を受けて自宅で習慣化すること、さらに、定期的に歯科医院に通ってメインテナンスすることも、歯周病の再発を予防する上では欠かせないという。

歯周病は全身の健康を脅かすリスクファクターであり、口腔内の健康に加えて、全身の健康を管理する観点からも歯科治療の重要性が注目されている。しかし、高齢社会が進む日本では、歯周病患者がますます増えることが懸念される。「口内には、約600種もの口内細菌が棲んでいます。これが血液やリンパ管に入り込んで全身に運ばれて血栓を作る引き金になり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こし、命に関わります。重症な歯周病患者は糖尿病の重症化につながり、手足の切断や失明のリスクも生じます。そのため、歯周病を治すことは、全身の病気を改善することにもつながります。感染症による死亡率が高かった過去と違って、生活習慣病で生命を落とすこともある現代。“Mouth & Health”、口腔内の健康を守ることで、健康な毎日を過ごすことが大切です」

医師プロフィール

1979年3月 東京医科歯科大学歯学部 卒業
1983年3月 東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了、歯学博士取得
1987年10月~1989年 9月 ジュネーブ大学医学部歯学科講師
1992年3月 鹿児島大学歯学部歯科保存学講座 助教授
1999年8月 鹿児島大学歯学部歯科保存学講座 教授
2003年4月 鹿児島大学歯学部附属病院 副病院長、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 教授(歯周病態制御学分野)
2004年4月 鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 病院長補佐
2007年4月 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 教授(歯周病学分野)
2008年4月 東京医科歯科大学歯学部附属病院病院長補佐(感染対策担当)
2014年4月 同大学副理事
2014年4月から2年間 日本歯周病学会理事長も務める