山田隆司医師は岐阜県内で長くへき地医療に従事してきた経験がある。そういった地域では専門にかかわらず様々な疾病に対応せざるを得なかったという。東京都内で診療する現在、それまでの経験を活かし、患者の全身の健康問題に対応できる「総合診療医」として診療にあたっている。高齢者は多くの障害や慢性疾患を併せ持っており、超高齢化が進む現在では、都市部においても専門性にとらわれない総合診療の必要性が高まっているのだ。
「体の不調を感じた時、何でも気兼ねなく相談できるような身近な存在が、総合診療医、プライマリ・ケア医です。しかし、ただ最初に診療して、次にかかる診療科を紹介する“振り分け”だけを行うのが役割ではありません。長いスパンで身近に付き合うことで安心して頼ってもらえるような信頼関係を作ることがより重要です。特に障害が進行して介護が必要になった際や、人生の終末期に差し掛かった際など、どんな状況にあっても個々の尊厳を重んじ、最期まで寄り添ってくれる医師の存在は心強いのではないでしょうか」
山田医師は自身の地域医療の経験から、日本での医師の育成についての課題を指摘する。それは、医師の育成が医学知識や技術を学ぶことに傾きがちであることだ。「個々の患者の家庭や地域など、それぞれの背景を汲み取った質の高い医療サービスが必要な時代となっています。それを実現するには、医師の人間性を育む教育も欠かせません」と山田医師。今もへき地での診療に関わる傍ら、日本専門医機構では総合診療医検討委員も務め、地域での医師の育成に精力的に取り組んでいる。
医師の紹介
診療を受けるには
再診は予約可能だが、初診は予約制ではない。高齢受給者証や各種医療証のほか、紹介状、診療情報提供書等(お持ちの方のみ)を持参すること。
医師プロフィール
1980年 自治医科大学卒業
1982年 岐阜県久瀬村診療所(現揖斐川町)
1999年 地域医療振興協会 常務理事
2003年 同協会地域医療研究所 所長
2009年 台東区立台東病院 管理者
2014年 地域医療振興協会 副理事長
岐阜大医学部地域医療医学センター特任教授、日本専門医機構総合診療医検討委員会委員なども兼務
1982年 岐阜県久瀬村診療所(現揖斐川町)
1999年 地域医療振興協会 常務理事
2003年 同協会地域医療研究所 所長
2009年 台東区立台東病院 管理者
2014年 地域医療振興協会 副理事長
岐阜大医学部地域医療医学センター特任教授、日本専門医機構総合診療医検討委員会委員なども兼務
所属学会
日本プライマリ・ケア連合学会 指導医、代議員
主な著書
『ザ・総合診療医 地域医療を語り合った仲間たち』(2015年メディカルサイエンス社)
医師発信欄
JADECOMアカデミー:http://jadecom-special.jp/
(更新日:2023年12月11日)