呼吸困難と激しい動悸 家庭の医学

 呼吸困難感とともに、呼吸のたびにゼーゼーヒューヒューと音の出る気管支ぜんそくや、せき・たんを伴う肺炎・肺梗塞といった呼吸器系の病気以外に、重症の心臓病では顔が青紫色になるチアノーゼがあらわれ、特に横になると苦しくて、上半身を起こしたままの状態でいようとするようすがみられます。慢性腎不全では、徐々に体重が増加し息苦しくなります。いずれも、すぐに医療機関を受診する必要があります。

 胸でドキドキ脈うつのを感じることを動悸(どうき)といいますが、心臓はふつうにうっているのに神経質になっていてドキンドキンと感じる場合と、実際に心臓が強くうったり、速くうったり、不規則にうったりするのを感じる場合とがあります。
 激しい動悸は発作性頻拍症や心房細動などの不整脈で生じ、特に胸痛のある場合には狭心症や心筋梗塞などの心臓病が疑われます。さらに吐き気・嘔吐(おうと)や、冷や汗が出て顔面蒼白になる場合には、肺梗塞や胃腸出血などによるショックの可能性があり、一刻の猶予もありません。

■呼吸困難と激しい動悸
症状病名そのほかの症状など
呼吸困難呼吸器の病気青紫色(チアノーゼ)
心不全血たん、むくみ、食欲がない、冷え
腎臓の病気尿の回数や量が多い、食欲がない、むくみ、高血圧
激しい動悸発作性上室頻拍めまい、脈が速い、胸部異和感
心房細動脈が乱れる、息切れ
心筋梗塞激しい胸痛、食欲がない、息切れ、むくみ、脈が速い、冷や汗
ショック意識障害、血圧低下
貧血疲れやすい、めまい、蒼白(顔いろ)、食欲がない、息切れ、脈が速い


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹