大出血 家庭の医学

 大量の喀血(かっけつ:せきを伴う気管や呼吸器系からの出血)は、肺がんや肺結核などでみられます。
 吐血(とけつ:嘔吐〈おうと〉に伴う、食道や胃など消化器系からの出血)は、胃潰瘍、胃がん、肝硬変に合併する食道静脈瘤(りゅう)破裂などでみられます。
 下血(げけつ:肛門部からの出血)は、消化器のがんや潰瘍などでみられます。
 女性の性器出血は、流産や前置胎盤(たいばん)などで生じ、血尿は、腎・尿路結石や泌尿器のがんでみられます。
 外傷に伴う大出血や、鼻出血であってもなかなかとまらない場合には、紫斑(しはん)病などの出血素因が背景にある可能性があり、医療機関を受診しましょう。

■大出血
症状病名そのほかの症状など
喀血肺がんせき、血たん、胸痛、やせ
肺結核疲れやすい、食欲がない、息切れ、せき、体重減少、寝汗、微熱
吐血胃・十二指腸潰瘍食欲不振、上腹部痛、胸やけ、吐き気・嘔吐、黒色便(血便)
胃がん食欲不振、体重減少、吐き気・嘔吐、黒色便、胸やけ
肝硬変黄疸、腹水、出血傾向、息切れ、食欲不振、疲れ
下血大腸がん食欲不振、やせ、左・右下腹部のしこり、便秘、血便
胃・十二指腸潰瘍食欲不振、上腹部痛、胸やけ、吐き気・嘔吐、吐血、黒色便(血便)
性器出血流産下腹部痛
前置胎盤妊娠後期
血尿腎・尿路結石腹痛
泌尿器の腫瘍
鼻出血紫斑病歯ぐきの出血、発作性の腹痛、皮下出血


(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 総合診療部 部長 細田 徹