高齢者が求める医療 家庭の医学

 高齢者はどんな医療を求めているのでしょうか。
 高齢者が求める医療について、優先順位に関する意識調査があります。それによりますと、高齢者の医療への優先度は一に症状の改善、二に家族に迷惑をかけたくない、三に生活機能の維持改善ということでした。

●患者が求める高齢者医療の優先順位に関する意識調査
地域在住高齢者
(N=2579)
平均順位老年専門医平均順位
1位病気を効果的に治療する4.2患者(高齢者)の生活の質を改善する2.6
2位家族の介護負担を軽減する4.5患者(高齢者)や家族の満足感を高める4.4
3位身体の機能を回復させる5.2病気を効果的に治療する4.8
4位現在の活動能力を維持させる5.9現在の活動能力を維持させる4.9
5位患者(高齢者)の抱える問題を解決する5.9身体の機能を回復させる4.9
6位精神面での健康状態を改善する6.3精神面での健康状態を改善する6.0
7位患者(高齢者)の生活の質を改善する6.4患者(高齢者)の抱える問題を解決する6.4
8位患者(高齢者)や家族の満足感を高める6.8家族の介護負担を軽減する6.4
9位介護サービスなどの利用を勧める6.9介護サービスなどの利用を勧める7.8
10位地域社会との交流や活動の場を広げる7.5地域社会との交流や活動の場を広げる7.8
11位施設への入所をできるかぎり回避する8.4施設への入所をできるかぎり回避する10.3
12位死亡率の低下をめざす10.0死亡率の低下をめざす10.6
*東京近郊A市、北陸B市の65歳以上住民で、要介護認定なし
厚生労働科研・長寿科学「高齢者に対する適切な医療提供に関する研究」研究班(主任:東京大学・秋下雅弘)


 ところで、お医者さんにかかって、食事以外の生活のようすを聞かれたことがありますか。たとえば、おしっこが漏れませんか、料理はできますか、買い物に不自由しないですかといったことです。これらは医療の安全性、有効性に直結しています。くわしくは、生活機能評価の項目(病気をきっかけに生活機能が低下しやすい)で述べます。

(執筆・監修:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 理事長/国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 理事長特任補佐 鳥羽 研二)
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