顎変形症〔がくへんけいしょう〕 家庭の医学

 上あご(上顎骨〈じょうがくこつ〉)と下あご(下顎骨〈かがくこつ〉)の大きさやかたちの異常、または上下のアンバランスによって、かみ合わせの異常や顔の変形を起こす疾患です。

■代表的な顎変形症
 1.下顎前突症(かがくぜんとつしょう):下あごが前方に突き出ています。
 2.小下顎症(しょうかがくしょう):下あごが小さい状態です。先天性の場合は小顎症と呼ばれます。
 3.上顎前突症(じょうがくぜんとつしょう):上あごが前方に突き出ています。
 4.開咬症(かいこうしょう):奥歯だけがかみ合っていて、前歯が開いている状態です。
 5.顔面非対称:上顎骨や下顎骨の大きさが左右で異なる状態です。

【症状】
 顔の変形などのほかに、かみ合わせの異常が起こります。変形が大きい場合は、食物をかむことやことばの発音が障害されることもあります。

【治療】
 顔面骨骨切り術と呼ばれる、あごの骨を切る手術によって治療します。おもに口の中を切開して手術をおこなうため、顔に傷が残りません。手術の前後には矯正歯科による歯並びの治療が必要です。
 原則的に顎変形症の治療は保険適用ですが、見た目の改善のみを目的とする場合などは保険適用外になることがあります。

【参照】歯と口とあごの病気:顎変形症

(執筆・監修:埼玉医科大学 教授〔形成外科・美容外科〕 時岡 一幸)
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