カテーテル閉鎖術〔かてーてるへいさじゅつ〕 家庭の医学

 カテーテル閉鎖術とは、足の付け根やくびの血管からカテーテルという細い管を入れて、心臓の孔や異常血管に閉鎖器具を置くことによって、胸を切って開くことなく孔をふさぐことができる治療法です。手術と組み合わせて病気の治療に役立てることもあれば、動脈管開存や心房中隔欠損では、この治療だけで手術をせずに治すこともできます。
 動脈管開存では、従来は外科手術で動脈管をしばる治療方法だけでしたが、1990年代からコイルを使用したカテーテル閉鎖術が普及しました。コイル閉鎖術は太い動脈管に適用するのは困難でしたが、2009年からは閉鎖栓が使えるようになり、多くの患者さんでカテーテルによる閉鎖が可能かつ安全におこなえるようになっています。


■心房中隔欠損のカテーテル閉鎖術
 心房中隔欠損のカテーテル閉鎖術は、日本では2005年からおこなわれています。

 閉鎖栓治療が可能な条件として、孔(あな)が大きすぎず、位置がはしに寄っていないなどがあります。閉鎖栓による治療は、胸を開き、心臓の動きをとめて孔を閉鎖する外科手術にくらべて、からだへの負担や痛みによる苦痛などが少ない利点があります。
 最近では3種類の閉鎖栓が使えるようになっており、心房中隔欠損の閉鎖を受ける人のうち、半数を超える人がカテーテル閉鎖術を受けています。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 小児循環器科 部長 矢崎 諭
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