痛み(疼痛) 家庭の医学

■腎臓の痛み
 いわゆる腎疝痛(じんせんつう)で、刺すような痛みが周期的にくり返し襲ってきます。尿管結石のときにしばしばみられます。背中の肋骨と脊椎が三角に交わる三角部をたたくと、ひびくような痛みがあります。これを肋骨脊柱角叩打痛(こうだつう)と呼びます。

 腎疝痛は身の置きどころがなく転げ回るほどの激痛で脂汗が出ます。結石が急に尿流を塞いだとき(尿管結石)に痛みが出ます。腎結石や腎盂(じんう)腎炎では痛みはあまりありません。時に鈍痛がある程度です。
 結石のほかにもさまざまな原因で水腎症になりますが、急性のものは痛みが強く、慢性では痛みはありません。

■膀胱の痛み
 膀胱(ぼうこう)の痛みは、細菌性膀胱炎、間質性(かんしつせい)膀胱炎膀胱結石、尿閉(にょうへい:膀胱にたまった尿が出なくて膀胱がはれている状態)などが原因となります。

■尿道の痛み
 尿道炎(特に淋菌性尿道炎)、尿道結石などが原因となります。

■前立腺の痛み
 急性前立腺炎慢性前立腺炎などが原因となります。急性の場合はかなり強い痛みですが、慢性の場合は鈍痛となります。会陰部(えいんぶ:股の付け根)に痛みを感じます。

■精巣の痛み
 精巣(せいそう)が痛むのは、打撲などの外傷、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)に続いて起こる精巣炎、精索捻転(せいさくねんてん)などが理由となります。精索捻転は精索と精索に伴走する血管がねじれてしまう病態で、早期に処置をしないと精巣が壊死したり、萎縮したりしてしまいます。

■精巣上体の痛み
 細菌感染による精巣上体炎では痛みが起こります。精巣の痛みと誤解されることもあります。

■陰嚢部の腫瘤
 陰嚢(いんのう)の内部がはれてきた場合は、精巣腫瘍、精索捻転、精巣上体炎などが疑われます。痛みがないと、精巣腫瘍の可能性が高まります。

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)
(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 教授〔泌尿器外科学〕 久米 春喜)
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