その他のヘルニア

 ふとももの内側で、股のところにヘルニアが起こることがあります。“大腿(だいたい)ヘルニア”といって、高齢の女性に多いものです。あまり大きくならないので、気がつかず、おなかがひきつるという感じがときどきあり、嵌頓(かんとん)を起こしてはじめて気づくことも多いです。
 へそのところにヘルニアが起こることがあります。へその部分が半球状にふくれてくるものを“へそヘルニア”(臍〈さい〉ヘルニア)といいます。生後6カ月以内に起こることが多く、たいてい2~3歳までに腸の脱出孔(ヘルニア門)は縮小・自然閉鎖し、腸の脱出は消失します。コインや絆創膏(ばんそうこう)で圧迫すると早く治るという説がありますが迷信です。むしろ圧迫による皮膚炎(かぶれ、水疱〈すいほう〉)などをきたしますので、おすすめしません。
 2~3歳で、ヘルニア門が自然に閉じたとき、へそ周囲の余った皮膚が多く“でべそ”の状態になることがありますが、その場合にはへそのかたちをととのえる臍形成術がおこなわれることがあります。
 へその位置の腹壁が生まれつき閉じなくて、腸管が拡大したへその緒の中に脱出してくるのが臍帯ヘルニアです。この病気は胎児期の超音波(エコー)検査で見つかることが多く、出生直後に小児外科医に紹介されます。へその緒の薄い膜で脱出腸管が包まれているので、先天性腹壁破裂ほどの緊急性はありません。内臓の脱出がごく少量の場合には自然に縮小して治癒することもありますが、多くの場合は生後1~2週間のうちに手術します。
 横隔膜ヘルニア(ヘルニア(脱腸)参照)は、胃や腸が腹と胸との境にある横隔膜を通って胸に入り込むものです。これには食道裂孔(れっこう)ヘルニアと胸腹膜裂孔ヘルニアがあります。“食道裂孔ヘルニア”は胃が食道のわきのところから胸に脱出しているものです。乳児や新生児やふとった大人にみられ、貧血、嘔吐(おうと)があり、発育がわるく、呼吸困難のあることもあります。症状があれば、胃管からの栄養補給などをおこなってから手術します。食道裂孔ヘルニアは中年以上のふとった大人にも多く、胸やけや上腹部の不快感を伴います。
 横隔膜の異常裂孔から腸などの内臓が胸に脱出する“胸腹膜裂孔ヘルニア”は新生児に多く、やはりチアノーゼと呼吸困難があるため、ほかの病気とまちがわれることがあります。手術が必要です。
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