胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋腫症〔たんのうぽりーぷ、たんのうせんきんしゅしょう〕 家庭の医学

 胆嚢の中に突出するような形の腫瘤(しゅりゅう)を総称して胆嚢ポリープと呼びます。多くの場合はコレステロールポリープと呼ばれる良性のもので、そのほか過形成ポリープ、腺腫などの良性のものが多いのですが、一部に小さな胆嚢がんがみられることがあり、注意が必要です。コレステロールポリープの多くは有茎性(細い茎の先に腫瘤がある、サクランボのような形のポリープ)で、超音波検査で点状に高輝度部分がみられることが特徴です。小さな胆嚢ポリープは経過観察されることが一般的で、10mm以上のもの、急に大きくなったもの、がんが疑われるものは胆嚢摘出術が考慮され、多くの場合腹腔(ふくくう)鏡を用いた手術がおこなわれます。
 胆嚢腺筋腫症は胆嚢の壁が一部厚くなる病気で、胆嚢の壁の中にあるRokitansky-Ashoff洞(RAS)と呼ばれるものが増生したものです。胆嚢底部に限局した底部型、胆嚢体部にある分節型、全体が肥厚する広範型に分類され、経過観察されることも多いのですが、胆石を合併して症状がある場合、胆嚢がんとの区別がむずかしい場合などは、胆嚢摘出術を考慮します。

(執筆・監修:自治医科大学外科学講座 主任教授〔消化器外科学〕 佐田 尚宏