胆石症、胆嚢炎、胆管炎〔たんせきしょう、たんのうえん、たんかんえん〕

 胆石は胆道にできる結石の総称で、できる場所によって胆嚢結石、胆管結石、肝内結石に分類されます。胆石の約80%は胆嚢結石で、胆石により生じる病態を胆石症と呼びます。
 胆嚢炎、胆管炎は、それぞれ胆嚢、胆管の炎症で、多くは胆石が原因で起こります。炎症を伴う胆石は治療の対象で、特に急性の炎症(急性胆嚢炎、急性胆管炎)が起こると、緊急に治療が必要になります。


■胆石の種類と成因
 胆石を構成しているおもな成分によって、コレステロール系石、ビリルビン系石、その他の胆石に分けられます。コレステロール系石は、胆汁のコレステロール濃度が高くなることにより生成され、肥満、脂質異常など生活習慣病と関連があるといわれています。ビリルビン系石は、胆道感染と関連があるといわれていて、胆管結石の多くはビリルビン系石です。


■胆石症、胆嚢炎、胆管炎の症状
 胆石症の大半を占める胆嚢結石症では、約30%の人には症状がなく、silent stoneと呼ばれます。胆嚢結石症の症状は大きく分けて胆嚢炎による症状と仙痛(せんつう)発作による症状に分けられます。
 胆石が胆嚢にあると胆嚢炎を生じることがあり、胆嚢炎は急性胆嚢炎、慢性胆嚢炎に分類されます。急性胆嚢炎では、発熱、右上腹部痛などがみられ、多くの場合は手術など緊急に治療が必要になります。慢性胆嚢炎には特別な症状はありませんが、軽い腹痛や腹部の重い感じが生じることがあります。
 仙痛発作は、急に生じる強い右上腹部痛で、胆石が胆嚢の出口(胆嚢管)につまって、胆嚢が緊満する(ふくれ上がる)ことにより起こります。仙痛発作はかなり強い痛みで、右肩や右背部に放散することがあり、時間が長くなると急性胆嚢炎を起こして発熱、黄疸(おうだん)などの症状が出てくることがあります。胆石が移動すれば症状はおさまりますが、仙痛発作が頻回に生じるときは、手術がすすめられます。
 胆管結石、肝内結石は、胆管炎を起こすことがあり、胆石が胆管の出口(十二指腸乳頭部)につまると黄疸や発熱が起こり、緊急に治療をおこなわないと血圧低下などショックの症状を起こすことがあり注意が必要です。胆管の出口は膵臓から出る膵管の出口と共通で、胆石がつまることにより膵炎を起こすことがあります。肝内結石は肝内胆管がんを発症するリスクがあります。


■胆石症の診断
 胆石症の診断には、まず超音波(エコー)検査がおこなわれます。その後、必要に応じてCT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像法)検査がおこなわれます。胆管結石を調べるために、内視鏡を用いたERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)検査がおこなわれ、そのまま胆石を摘出する治療をおこなうこともあります。

■胆石症の治療
 胆嚢結石症は、胆嚢炎やほかの症状がないときは、通常経過観察されます。痛みなどの症状があるときは、現在では腹腔(ふくくう)鏡を用いて胆嚢を摘出する手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)が一般的におこなわれます。強い急性胆嚢炎があるときは、すぐに手術をおこなわず、胆嚢内の胆汁を外に出す処置(ドレナージ)をおこなって、時間を置いてから手術をおこなうこともあります。その際は、腹腔鏡を使わないで、通常の開腹手術がおこなわれることがあります。
 胆管結石症、肝内結石症は、通常は症状がなくても治療の対象になります。まず、内視鏡を使ってERCP検査をおこない、そのまま胆管の出口を切開したり、拡張したりして、器具を胆管の中に入れて胆石を採取します。その際に、胆管に管を入れて鼻から出す処置が同時におこなわれることがあります。内視鏡を使っての胆石採取ができないときは、腹腔鏡を用いた手術や開腹手術がおこなわれます。肝内結石症に対しては、肝切除がおこなわれることがあります。

 胆石症については、日本消化器病学会が胆石症のガイドを作成していますので、そちらも参照してください。

(執筆・監修:自治医科大学附属病院 病院長/自治医科大学外科学講座 教授〔消化器外科学〕 佐田 尚宏
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