業務上疾病と労働災害補償保険

 会社で働いている人が、その仕事に関連して負傷、疾病、障害をこうむったり死亡すれば、労働災害補償保険法にもとづく労働災害補償保険(労災保険)が給付されます。給付の対象には通勤途上の災害によるものも含まれます。
 労災保険の保険料は全額会社負担で、強制加入ですが、労災に対する診察や治療のための療養費は医療保険とは異なって、患者の自己負担はありません。時には、本来労災保険で支払われるべき事故や業務上の疾病について、健康保険を使うよう会社から求められることがありますが、これは違法です。労災保険では療養費に加え、休業補償、障害補償、死亡災害の場合の遺族補償もあります。
 ただし、業務災害または通勤災害による疾病などに対し、労災保険の給付を受けるためには、労働基準監督署長により業務上疾病として認定されることが必要です。業務上であるか否かの判断は、裁判などのあらそいになることがあります。
 労災保険の対象として認定される業務上疾病者数は全体に減少傾向にありますが、もっとも多いのは「負傷に起因する疾病」で、その多くはいわゆるぎっくり腰などの急性腰痛症です。これに騒音性難聴などの物理的因子による疾病が続いています。また最近は、過重労働による心臓や脳血管疾患、うつ病やメンタル原因の自殺など、いわゆる過労死もふえています。