じん肺症〔じんぱいしょう〕

 粉じんを吸い込むことでひき起こされるじん肺は、有害物による業務上疾病のなかでは最多であり、また、じん肺健康診断で異常のあった人は2000人近くにのぼります。職種としては鉱物などの掘削・積み下ろし、石材加工、金属研磨、陶磁器・鋳物製造、金属製錬、溶接、炭素製品、い草製造、トンネル建設などで、全国ではこうした粉じん作業に従事する労働者は約50万人(2015年)います。
 じん肺のうち、結晶質シリカによるものをケイ肺と呼びます。10~20年以上シリカを含む粉じんの中で作業を続けると、肺に小さな粒状のケイ肺結節が生じます。これがしだいに密になり、やがて相互に癒合(ゆごう)し大結節となり、周囲の肺はひっぱられて肺気腫になります。その結果、肺が十分な酸素を取り込めなくなり、呼吸困難になるだけでなく気管支炎や結核を合併しやすくなります。また最近、じん肺は肺がんとも関係するといわれています。
 石綿(アスベスト)は天然の繊維状結晶鉱物で、保温材・断熱材などの建築材やブレーキ、パッキン、フィルターなどに用いられてきました。しかし石綿は、肺や胸膜の炎症に加え、肺がんや胸膜のがん(悪性中皮腫〈ちゅうひしゅ〉)をひき起こすため、いまでは輸入や製造はすべて禁止されています。しかし、建材などにこれまで使われた数百万トンの石綿は残っています。石綿が建物で使われていたことが判明した場合、廃棄が必要ですが、防護が不十分なまま急いでそういう建材を廃棄した場合、かえって曝露(ばくろ:さらされること)をふやしてしまうことがあるので、慎重な対応が必要です。
 なお、石綿による肺がんは喫煙との相乗作用があることが知られ、石綿に曝露する人のうち喫煙者は、非喫煙者にくらべはるかに肺がんが多くなります。いっぽう、石綿の代替で用いられているガラス繊維やロックウールには発がん性がないと考えられています。
【参考】呼吸器の病気:じん肺症
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