鉛〔なまり〕 家庭の医学

 自動車のバッテリーやハンダ、ガラス製造や塗料など鉛の用途は多く、それと気づいていない人も含め鉛にさらされる人は多数います。たとえば、主婦が内職として家庭の食卓でハンダ付けをし、その結果、家族の血液中の鉛の数値が高くなったこともあります。また道路面の指示標識や壁の塗装には白い塗料として鉛が使われていたことがあり、それには甘みがあるため、乳児がハイハイしていって、はがれた壁の塗料をなめ、乳児の血中鉛値が高くなって、アメリカで大問題になったことがあります。
 鉛は血液のヘモグロビンの合成を阻害して貧血をひき起こすことと、末梢神経のまひが古くから知られています。最近これに加え、中枢(ちゅうすう)神経に作用して知能に影響する可能性が懸念されるようになりました。それは上記の乳児が壁の塗料を食べる問題がきっかけで、アメリカで国民の知能が低下する懸念が叫ばれ、環境中の鉛を規制する動きが強まっています。

(執筆・監修:帝京大学 名誉教授〔公衆衛生学〕 矢野 栄二)
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