推定エネルギー必要量
成人の場合に、エネルギー不足は、体重減少、やせ、たんぱく質・エネルギー栄養失調症の原因となり、反対に過剰の場合には、体重増加や肥満を招くことになります。したがって、望ましいエネルギーの摂取量は、「目標とする体重を維持することである」という考えかたをとっています。
そして、目標とする体重は、BMIで参考値を示しています。エネルギー必要量は体位だけでなく、活動量によって異なるため、活動量別に次の計算式で求めています。
基礎代謝基準値と身体活動レベルは、それぞれの表から自分の性別・年齢、活動レベルの数値を使います。
体重は、現在の体重が、「目標とするBMI」の範囲であれば、現在の体重を、この数値からはずれる人は、「目標とするBMI」から、目標とする体重を求めます。このとき、現在の体重から、あまりかけ離れないようにして決めます。急激な体重減少は低栄養を招きやすくなります。BMIから体重を求める式は、下記のとおりです。
簡便に知る方法として、参照体位と活動量から求めた推定エネルギー必要量を下に示しました。なお、参照体位は日本人として平均的な体位をもった人を想定したもので、くわしくは食事摂取基準の活用のしかたを参照してください。
自分の身長が、参照体位より高ければ、基本的には、エネルギー必要量は、ふやしてもいいことになります。反対に身長が低い場合には、少なくします。エネルギー量が適当かどうかは、成人であれば体重の変化で判断し、現在の体重が目標とするBMIの範囲で、維持できていれば適当ということになります。
ただし、身体活動レベルが「低い」のエネルギーで、体重維持がされていた場合には、食べる量をふやし、活動的な生活を心掛けます。参照身長に対する体重との差が大きい人は、調整が必要となります。
体重が多い人は、身体活動レベル「ふつう」のエネルギーを摂取します。これでやせない場合には、食べる量を減らすのでなく運動をしましょう。反対にふとってしまうようであれば、運動をして食べる量も減らします。
体重が少ない人(少な過ぎると低栄養のリスクが高まるので、BMI=18.5㎏/m2以上を基本と考えます)は、健康障害がなければ、むりに増やす必要はありませんが、体重が少ないことが原因となる健康障害がある場合は、「ちゃんと食べる」ようにします。
成人の場合には、健康であればエネルギー摂取量の適正は、体重にあらわれますので、体重をはかる習慣をつけると、健康の自己管理の手段となります。
□BMIとは
アスリートのような特別な体格の人以外は、体脂肪量と体重は比例します。肥満は、「体脂肪量が多い状態」をいうため、肥満の判定には、BMI(Body Mass Index)という指数が用いられています。BMIの計算式は次のとおりです。
日本肥満学会では、この指数が25以上を肥満としています。そしてBMI=22を標準としています。この22という指数は、疫学的な調査からもっとも病気が起こりにくい身長に対する体重の割合です。自分の標準体重を求めるには、前記の計算式の逆算をすればよいことになります。
これで、求めた体重のおよそ±10%幅で、それぞれの体質にあわせた体重管理をすればよいでしょう。
□基礎代謝量とは
生命の維持のためのエネルギー量で、心臓を動かしたり、消化吸収したりするのに必要なエネルギー量です。基礎代謝量は、筋肉量によって異なり、筋肉量が多いほど基礎代謝量も高くなります。男性の基礎代謝量が高いのは、このためです。筋肉トレーニングをして筋肉量をふやすと、基礎代謝量もふえるため、ふとりにくい身体になります。
そして、目標とする体重は、BMIで参考値を示しています。エネルギー必要量は体位だけでなく、活動量によって異なるため、活動量別に次の計算式で求めています。
推定エネルギー必要量 = 1日の基礎代謝量(性・年齢別の基礎代謝基準値)× 体重 ×身体活動レベル ※各値については下記の解説を参照 |
基礎代謝基準値と身体活動レベルは、それぞれの表から自分の性別・年齢、活動レベルの数値を使います。
基礎代謝基準値(kcal/kg/日) | 性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1~2歳 | 61.0 | 59.7 |
3~5歳 | 54.8 | 52.2 |
6~7歳 | 44.3 | 41.9 |
8~9歳 | 40.8 | 38.3 |
10~11歳 | 37.4 | 34.8 |
12~14歳 | 31.0 | 29.6 |
15~17歳 | 27.0 | 25.3 |
18~29歳 | 23.7 | 22.1 |
30~49歳 | 22.5 | 21.9 |
50~64歳 | 21.8 | 20.7 |
65~74歳 | 21.6 | 20.7 |
75歳以上 | 21.5 | 20.7 |
身体活動レベル1 | 低い(Ⅰ) | ふつう(Ⅱ) | 高い(Ⅲ) |
---|---|---|---|
1.50 (1.40~1.60) | 1.75 (1.60~1.90) | 2.00 (1.90~2.20) | |
日常生活の内容 2 | 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 | 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合 | 移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合 |
中程度の強度(3.0~5.9メッツ)の身体活動の 1日あたりの合計時間(時間/日)3 | 1.65 | 2.06 | 2.53 |
仕事での 1 日当たりの合計歩行時間(時間/日)3 | 0.25 | 0.54 | 1.00 |
1 代表値。( )内はおよその範囲。 2 Black, et al.、Ishikawa-Takata, et al.を参考に、身体活動レベル(PAL)に及ぼす仕事時間中の労作の影響が大きいことを考慮して作成。 3 Ishikawa-Takata, et al.による。 |
体重は、現在の体重が、「目標とするBMI」の範囲であれば、現在の体重を、この数値からはずれる人は、「目標とするBMI」から、目標とする体重を求めます。このとき、現在の体重から、あまりかけ離れないようにして決めます。急激な体重減少は低栄養を招きやすくなります。BMIから体重を求める式は、下記のとおりです。
身長(m)×身長(m)× BMI = BMIに相当する体重(㎏) |
年齢 | 目標とするBMI(kg/m2) |
---|---|
18~49歳 | 18.5~24.9 |
50~64歳 | 20.0~24.9 |
65~74歳3 | 21.5~24.9 |
75歳以上3 | 21.5~24.9 | 1 男女共通。あくまでも参考として使用すべきである。 2 観察疫学研究において報告された総死亡率が最も低かったBMIをもとに、疾患別の発症率とBMIの関連、死因とBMIとの関連、喫煙や疾患の合併によるBMIや死亡リスクへの影響、日本人のBMIの実態に配慮し、総合的に判断し目標とする範囲を設定。 3 高齢者では、フレイルの予防および生活習慣病の発症予防の両者に配慮する必要があることも踏まえ、当面目標とするBMIの範囲を21.5~24.9kg/m2とした。 |
簡便に知る方法として、参照体位と活動量から求めた推定エネルギー必要量を下に示しました。なお、参照体位は日本人として平均的な体位をもった人を想定したもので、くわしくは食事摂取基準の活用のしかたを参照してください。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル1 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
0~5カ月 | - | 550 | - | - | 500 | - |
6~8カ月 | - | 650 | - | - | 600 | - |
9~11カ月 | - | 700 | - | - | 650 | - |
1~2歳 | - | 950 | - | - | 900 | - |
3~5歳 | - | 1300 | - | - | 1250 | - |
6~7歳 | 1350 | 1550 | 1750 | 1250 | 1450 | 1650 |
8~9歳 | 1600 | 1850 | 2100 | 1500 | 1700 | 1900 |
10~11歳 | 1950 | 2250 | 2500 | 1850 | 2100 | 2350 |
12~14歳 | 2300 | 2600 | 2900 | 2150 | 2400 | 2700 |
15~17歳 | 2500 | 2800 | 3150 | 2050 | 2300 | 2550 |
18~29歳 | 2300 | 2650 | 3050 | 1700 | 2000 | 2300 |
30~49歳 | 2300 | 2700 | 3050 | 1750 | 2050 | 2350 |
50~64歳 | 2200 | 2600 | 2950 | 1650 | 1950 | 2250 |
65~74歳 | 2050 | 2400 | 2750 | 1550 | 1850 | 2100 |
75歳以上2 | 1800 | 2100 | - | 1400 | 1650 | - |
妊婦(付加量)3 初期 中期 後期 | - - - | - - - | - - - | +50 +250 +450 | +50 +250 +450 | +50 +250 +450 |
授乳婦(付加量) | - | - | - | +350 | +350 | +350 |
1 身体活動レベルは、低い、ふつう、高いの3つのレベルとして、それぞれⅠ、Ⅱ、Ⅲで示した。 2 レベルⅡは自立している者、レベルⅠは自宅にいてほとんど外出しない者に相当する。レベルⅠは高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている者にも適用できる値である。 3 妊婦個々の体格や妊娠中の体重増加量、胎児の発育状況の評価をおこなうことが必要である。 注1:活用に当たっては、食事摂取状況のアセスメント、体重およびBMIの把握をおこない、エネルギーの過不足は体重の変化またはBMIを用いて評価すること。 注2:身体活動レベルⅠの場合、少ないエネルギー消費量に見合った少ないエネルギー摂取量を維持することになるため、健康の保持・増進の観点からは、身体活動量を増加させる必要がある。 |
自分の身長が、参照体位より高ければ、基本的には、エネルギー必要量は、ふやしてもいいことになります。反対に身長が低い場合には、少なくします。エネルギー量が適当かどうかは、成人であれば体重の変化で判断し、現在の体重が目標とするBMIの範囲で、維持できていれば適当ということになります。
ただし、身体活動レベルが「低い」のエネルギーで、体重維持がされていた場合には、食べる量をふやし、活動的な生活を心掛けます。参照身長に対する体重との差が大きい人は、調整が必要となります。
体重が多い人は、身体活動レベル「ふつう」のエネルギーを摂取します。これでやせない場合には、食べる量を減らすのでなく運動をしましょう。反対にふとってしまうようであれば、運動をして食べる量も減らします。
体重が少ない人(少な過ぎると低栄養のリスクが高まるので、BMI=18.5㎏/m2以上を基本と考えます)は、健康障害がなければ、むりに増やす必要はありませんが、体重が少ないことが原因となる健康障害がある場合は、「ちゃんと食べる」ようにします。
成人の場合には、健康であればエネルギー摂取量の適正は、体重にあらわれますので、体重をはかる習慣をつけると、健康の自己管理の手段となります。
□BMIとは
アスリートのような特別な体格の人以外は、体脂肪量と体重は比例します。肥満は、「体脂肪量が多い状態」をいうため、肥満の判定には、BMI(Body Mass Index)という指数が用いられています。BMIの計算式は次のとおりです。
BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m) |
日本肥満学会では、この指数が25以上を肥満としています。そしてBMI=22を標準としています。この22という指数は、疫学的な調査からもっとも病気が起こりにくい身長に対する体重の割合です。自分の標準体重を求めるには、前記の計算式の逆算をすればよいことになります。
標準体重(kg)= 身長(m)× 身長(m)×22 |
これで、求めた体重のおよそ±10%幅で、それぞれの体質にあわせた体重管理をすればよいでしょう。
□基礎代謝量とは
生命の維持のためのエネルギー量で、心臓を動かしたり、消化吸収したりするのに必要なエネルギー量です。基礎代謝量は、筋肉量によって異なり、筋肉量が多いほど基礎代謝量も高くなります。男性の基礎代謝量が高いのは、このためです。筋肉トレーニングをして筋肉量をふやすと、基礎代謝量もふえるため、ふとりにくい身体になります。
(執筆・監修:聖徳大学 人間栄養学部人間栄養学科 兼任講師 宮本 佳代子)