夜尿症〔やにょうしょう〕

 排尿機能に影響する器質的な病気がないにもかかわらず、排尿の自立の時期が過ぎても夜尿(おねしょ)がある状態をいいます。めやすとしては、5歳以上の子どもで1週間のうち2晩以上の夜尿が3カ月以上続いているときに診断します。
 このような子どもは、それ以前から夜尿が続いている場合が大部分で、そのような場合には成長とともに自然に改善します。いったん夜尿がなくなったあとに出てくる場合は、なんらかの心理的な要因が考えられます。弟や妹の誕生のために減ってしまった親の関心を取り戻そうとするといったようなことです。
 治療上注意すべきことは、子どもをしかったり生活規制を厳しくしたりすると、子どものストレスがよけい強くなってしまうことです。親があせらずゆっくりと見守ることが大切です。薬物として抗うつ薬が使われることがあります。また行動療法(ベルパッド条件づけ法など)も有効です。
 なお、類似の障害として、遺尿症(日中のおもらし)や遺糞症(日中に便をもらしてしまう)があります。

【参照】子どもの病気:夜尿症

(執筆・監修:高知大学 名誉教授/社会医療法人北斗会 さわ病院 精神科 井上 新平)
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