治療・予防

治療が必要な子どものお漏らし―昼間尿失禁 
ためらわず小児科を受診

 昼間の「お漏らし」が5歳を過ぎても続く場合は、昼間尿失禁という病気が疑われる。治療が遅れると、小学校入学後に友達ができない、いじめの対象になるかもしれないなどの不安が出てくる。関西医科大学付属病院(大阪府枚方市)小児科診療部長の金子一成教授は「定時排尿指導やぼうこうのトレーニングなどで治ります。ためらわずに小児科を受診してください」と呼び掛ける。

歳を過ぎても昼間のお漏らしが続く場合は、治療が必要に

歳を過ぎても昼間のお漏らしが続く場合は、治療が必要に

 ▽原因は過活動ぼうこう

 幼い子どもが尿意を認識して「おしっこ」と言うようになるのは2歳半~3歳で、5歳までには自分で排尿をコントロールする機能が確立するといわれている。5歳を過ぎても昼間の覚醒中に尿漏れがある場合を昼間尿失禁といい、治療が必要になる。

 「昼間尿失禁の原因は、過活動ぼうこうであると考えられるようになってきました。ぼうこうは尿を一時的にためておく臓器で、その周囲の筋肉(排尿筋)は普段は尿をためやすいように緩んでいます。尿がたまり排尿可能な状況になると排尿筋が収縮するのですが、子どもの過活動ぼうこうではその機能が未発達のため、突然強い尿意(尿意切迫感)を感じ、我慢できずにお漏らしをしてしまうのです」と金子教授は説明する。

 国内の調査では、小学生の10~20%に過活動ぼうこうが認められるとの報告がある。過活動ぼうこうの子どもは、健康な子どもに比べて夜尿症、尿路感染症の病歴、便秘・便失禁などの排便障害を合併することが少なくない。

 ▽親が気付いて受診

 過活動ぼうこうの特徴的な症状である尿意切迫感を、子どもが訴えることは少ない。昼間にお漏らしをする、ぎりぎりまでトイレに行かず走っていくが間に合わない、ゲラゲラ笑うと漏れる―などの状態に親が気付いて、小児科を受診するのが普通だ。「初めて受診されるのは小学校入学直前がほとんどです。臭いと言われて友達ができないのではないかなど、入学を迎えるに当たって親の不安は大きくなります」。

 昼間尿失禁の治療では、ぼうこうに尿をためる機能を鍛えるぼうこうトレーニングや、尿意がなくても2~3時間ごとに排尿する定時排尿の指導を行う。場合により、ぼうこうの蓄尿量を増やす作用のある抗コリン薬を飲む。治療を始めて半年ほどで、お漏らしの回数が減るという。
 金子教授は「尿失禁は、子どもの生活の質(QOL)を著しく損なうQOL疾患です。一日も早い治療が望まれます」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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