睡眠時随伴症〔すいみんじずいはんしょう〕

 小児期は、睡眠中にいろいろな異常が生じやすい時期です。どのようなものがおこりやすいかは、睡眠時随伴症(パラソムニア)として別項で概略を説明しました。ここでは小児期、青年期に起こりやすいものを取り上げます。
「悪夢」は幼児に多い現象です。日中の怖い体験が夢に出てきて、現実との区別がつかないために泣き叫んだりすると解釈されます。「夜驚(やきょう)」は、幼児に多く、就眠後まもなく大声を出して叫んだり暴れたりし、数分でおさまって通常の睡眠に移行します。「夢中遊行」は、寝ついてからまもなく突然起き上がって、うろうろしたりなにかの動作をしたりします。一見起きているのかと思われるほど行動が目的をもったように見えることもあります。ある程度動いたあとはまた睡眠に入ります。
 夜驚と夢中遊行は、翌日記憶として残っていません。「寝ぼけ」は夢中遊行とほぼ同じですが、行動のまとまりがほとんどない場合をいいます。
 以上の睡眠時随伴症は、成長とともに自然によくなることが多いので、特別な治療は必要ありません。しかし症状が激しいときは薬物療法が適用されることもあります。

(執筆・監修:高知大学 名誉教授/社会医療法人北斗会 さわ病院 精神科 井上 新平)
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