上腹部の痛み
急にみぞおち(心窩部〈しんかぶ〉)の痛み、嘔吐、下痢があった場合は急性胃腸炎を疑います。暴飲暴食をしたり、生ものやいたんだものを食べた覚えがあれば、その可能性は高いでしょう。
生の魚介類(しめさばなど)を食べて数時間以上後に激痛をうったえる場合は、寄生虫のアニサキスの可能性があります。胃内視鏡検査で虫を取ってもらうと治ります。
鎮痛薬などを服用すると、胃が荒れて急性胃炎を起こし、胃のあたりがひどく痛む場合があります。胃内視鏡検査で見ると胃粘膜を中心に多発性のびらん(ただれ)や潰瘍、浮腫、出血などの異常所見をみとめます。これらの病態を急性胃粘膜病変と呼びます。
胃切除後の人は胃の貯留機能が低下するために、摂取した食べ物が小腸内に急速に入ることで、食後すぐ、腹痛、動悸(どうき)、発汗などが起こることがあります(ダンピング症候群)。食事回数を5~6回に分け、1回の食事量を減らすことが大切です。
脂っこいものや卵などを食べたあとに、急に右上腹部が痛くなり、痛みが右肩や背中の右側に伝わるような場合、胆石の発作の可能性があります(胆石症)。細菌感染を起こし、高熱や黄疸(おうだん)が出ることもあります。中年以降の肥満女性などによくみられます。高齢女性などで、右上腹部痛をうったえる場合、胆嚢がんがひそんでいることもあります。
中高年男性などで大量飲酒をしたあとに、痛みが出て、しだいに悪化し、激痛となるようなら急性膵炎が疑われます。数時間から1~2日のうちに痛みが出ますが、前兆として比較的短い間に吐き気、食欲不振が続いたあと、激しい痛みがくることがよくあります。長期のアルコール多飲歴のある中高年男性で、上腹部痛などをくり返す場合、慢性膵炎(膵石症)が疑われます。
虫垂炎(いわゆる盲腸)の始まりも、吐き気、嘔吐を伴って上腹部が痛むことが多く、やがて右下腹部の痛みが強くなってきます。虫垂炎は胃炎と似たような症状で始まることがあります。経過を慎重にみて、徐々に右下腹部が痛み出したら、虫垂炎の可能性が高く、すぐ病院で手当てを受ける必要があります。
腹部の病気以外の、たとえば心臓の病気(心筋梗塞や狭心症)などでもみぞおちが痛むことがあります。心臓の下部の心筋梗塞では、みぞおちがかなり痛むので、消化器系の病気のような症状が出現することがあります。
上腹部から臍(へそ)のあたりにかけて腹部大動脈が走っていますが、それがこぶ状にはれて拍動が触れることがあります。このような場合に腹部大動脈瘤(りゅう)が存在していることがあり、それが破裂すると、腹部に激痛がはしって腹腔内に大出血し、大至急手術をしないとショック状態になって死に至ることがあります。
生の魚介類(しめさばなど)を食べて数時間以上後に激痛をうったえる場合は、寄生虫のアニサキスの可能性があります。胃内視鏡検査で虫を取ってもらうと治ります。
鎮痛薬などを服用すると、胃が荒れて急性胃炎を起こし、胃のあたりがひどく痛む場合があります。胃内視鏡検査で見ると胃粘膜を中心に多発性のびらん(ただれ)や潰瘍、浮腫、出血などの異常所見をみとめます。これらの病態を急性胃粘膜病変と呼びます。
胃切除後の人は胃の貯留機能が低下するために、摂取した食べ物が小腸内に急速に入ることで、食後すぐ、腹痛、動悸(どうき)、発汗などが起こることがあります(ダンピング症候群)。食事回数を5~6回に分け、1回の食事量を減らすことが大切です。
脂っこいものや卵などを食べたあとに、急に右上腹部が痛くなり、痛みが右肩や背中の右側に伝わるような場合、胆石の発作の可能性があります(胆石症)。細菌感染を起こし、高熱や黄疸(おうだん)が出ることもあります。中年以降の肥満女性などによくみられます。高齢女性などで、右上腹部痛をうったえる場合、胆嚢がんがひそんでいることもあります。
中高年男性などで大量飲酒をしたあとに、痛みが出て、しだいに悪化し、激痛となるようなら急性膵炎が疑われます。数時間から1~2日のうちに痛みが出ますが、前兆として比較的短い間に吐き気、食欲不振が続いたあと、激しい痛みがくることがよくあります。長期のアルコール多飲歴のある中高年男性で、上腹部痛などをくり返す場合、慢性膵炎(膵石症)が疑われます。
虫垂炎(いわゆる盲腸)の始まりも、吐き気、嘔吐を伴って上腹部が痛むことが多く、やがて右下腹部の痛みが強くなってきます。虫垂炎は胃炎と似たような症状で始まることがあります。経過を慎重にみて、徐々に右下腹部が痛み出したら、虫垂炎の可能性が高く、すぐ病院で手当てを受ける必要があります。
腹部の病気以外の、たとえば心臓の病気(心筋梗塞や狭心症)などでもみぞおちが痛むことがあります。心臓の下部の心筋梗塞では、みぞおちがかなり痛むので、消化器系の病気のような症状が出現することがあります。
上腹部から臍(へそ)のあたりにかけて腹部大動脈が走っていますが、それがこぶ状にはれて拍動が触れることがあります。このような場合に腹部大動脈瘤(りゅう)が存在していることがあり、それが破裂すると、腹部に激痛がはしって腹腔内に大出血し、大至急手術をしないとショック状態になって死に至ることがあります。
(執筆・監修:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 名誉院長 大西 真)
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