右下腹部の痛み 家庭の医学

 痛みが右下腹部に限られているときには、まず急性虫垂炎が疑われ、頻度も高いものです。症状が進むと、痛みの場所の筋肉が硬くなってきます(筋性防御)。急性虫垂炎は、吐き気や嘔吐、上腹部の痛みで始まることも多く、注意が必要です。症状が進んでからでは、うみがたまったり、腹膜炎をひき起こしたりします。なるべく早めに医師に診てもらうことが必要です。高齢者では症状がはっきりしない場合もあり、注意が必要です。
 似たような症状で、大腸憩室(けいしつ)症(腸の壁の一部が小さな風船のように外に飛び出したもの)のこともあります。高齢者に多く、近年増加してきています。
 消化器系の病気以外では、婦人科の病気(異所性妊娠卵巣嚢腫の茎捻転〈けいねんてん〉など)や泌尿器科の病気(尿管結石)などで痛むことがあります。婦人科の病気であっても、一般内科や消化器内科を受診する場合も多く、婦人科や泌尿器科など他の科の病気も念頭に置いて医師に相談されるとよいでしょう。

(執筆・監修:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 名誉院長 大西 真)