下腹部全体の痛み

 激しい痛みで始まる病気には重いものが多く、急性腸炎(細菌性や中毒性)、急性虫垂炎などがあります。婦人科の病気(異所性妊娠、卵管の病気、卵巣がんなど)や泌尿器科の病気(膀胱炎、副睾丸炎など)で痛むことがあります。
 腹部から腰部の差し込むような痛みが周期的に足の付け根のほうへはしるときは、尿管結石などが疑われます。尿に血がまざることで診断がつきます。水分をたくさんとって動くと、石が排泄(はいせつ)されることがあり、その後は痛みはとれます。たびたび再発することもあります。
 急に分単位で下腹部痛が起こり、その後、数時間以内に下痢、血便がみられるときは、腸の血のめぐりが悪くなったために起こる虚血性腸炎の可能性があります。高齢者に多くみられます。それほど急でなく、徐々に腹痛、下痢、下血を呈した場合は、細菌性腸炎・食中毒を考えなくてはなりません。O-157のようなベロ毒素産生大腸菌や赤痢菌によるものでは、早急な対処が必要となります。高齢者では重篤化することがあり、注意が必要です。

■養生法
 痛みが強い場合は、早急に手術をしなければならない病気もあり、急いで医師に診察してもらう必要があります。腹痛のほかに、血圧が下がったり、冷や汗が出たり、脈が速くなったり、呼吸が速くなったりしてショック症状を示すものは、きわめて重篤で、至急入院する必要があります。あきらかに便秘が原因と思われるものは、浣腸(かんちょう)などをしてみるのも一法です。
 腹部が痛くて医師に診てもらうときには、次のようなことを伝えるとよいです。
 1.いつから痛んだか?
 2.急に痛み出したか?
 3.痛む場所はおなかのどのあたりか?
 4.痛みの原因やきっかけはあったか?
 5.痛みは食事と関係があるか? 食後に痛むのか、空腹時に痛むのか?
 6.以前、同じような痛みがあったか?
 7.熱があるかどうか?
 8.痛みは背中や肩などに響くか?
 9.お酒を飲んで痛んだのか?
 10.痛んでから便が出たか? 出た便は硬かったか? 下痢だったか? 血便・黒褐色(かっしょく)・薄い色の便(クリーム色)などはなかったか?
 11.痛む前の最後の便はどうだったか?
 すぐに医師の診察を受けられないときは、絶食して安静にします。吐き気がある場合は無理にがまんしないことです。いずれにしろ、痛みがおさまらないときは早めに病院に行ってください。