心臓の病気 家庭の医学

コラム

遠隔モニタリング

 ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)などの植え込み型心臓デバイスを使用中の患者さんが、自宅や介護施設などに専用のモニター(送信機)を置くことで、インターネットを介してデバイスの電池状態や不整脈の有無と種類などの情報を医療機関に送信することができる遠隔診療システムです。
 遠隔モニタリングのメリットは、大きく分けて以下の3つがあります。

①外来通院の負担軽減
 遠隔モニタリングを導入することで、来院しなくても対面でのデバイスチェックとほぼ同等のデータの確認がおこなえるので、安全を保ちながら対面外来の負担を軽減することが可能になります。そのため、遠方から通院する場合や仕事・学校で休みがとりにくい場合、受診の負担が大きい高齢者などには、特にメリットが大きいです。

②緊急時のアラート機能
 致死的不整脈に対してICDによる治療がおこなわれた際や、リード(電線と電極)不全を疑わせるような異常データを感知した際、電池が消耗しデバイスの交換指標に達した際などの緊急性の高い警報(アラート)を送信することができます。このアラート機能により異常の早期発見、早期対応が可能になり、患者さんの安心と安全につながります。

③有症状時のデータ送信
 動悸(どうき)や息切れなどの症状があるときに、遠隔モニタリングのデータ送信をすることで、症状と不整脈の関連性を明確にできることがあります。また、症状に対して外来受診の緊急性などを考えるうえでも有用なデータになります。

 以上のように、遠隔モニタリングには多くのメリットがあります。使用するデバイスの種類や対応する医療機関により、活用方法が少し異なることはあるかと思いますが、これから進む超高齢社会、近年の新型コロナウイルス感染対策の観点からも、有用性が再認識される遠隔医療システムです。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 循環器内科 副部長 井上 完起)