厚生労働省の委託を受けた研究班は8日、高齢者の認知症患者数を推計したところ、2022年は443万2000人で、65歳以上に占める割合「有病率」は12.3%だったと公表した。高齢化の進展により、50年には586万6000人、有病率は15.1%に達する。
 同日開かれた政府の会議で結果が示された。政府は対策を議論し、認知症基本法に基づき今秋にも策定する基本計画に反映させる。
 研究班は、国内4地域で実施した調査結果を基に推計。日常生活に支障がないものの、記憶力などの低下がある「軽度認知障害」(MCI)の患者数は22年に558万5000人(有病率15.5%)、50年に631万2000人(同16.2%)となる。
 22年の認知症とMCIの有病率の合計は27.8%。過去に算出された12年の有病率を見ると、認知症は15.0%、MCIは13.0%の計28.0%で、今回とほぼ同じだった。認知症に限ると、22年は12年を2.7ポイント下回った。
 これに関して、今回の推計作業に携わった九州大の二宮利治教授(衛生・公衆衛生学)は、MCIから認知症へ症状が進んだ人の割合が低下した可能性を指摘。「MCIは早期であれば、生活習慣の改善によってある程度正常に戻る可能性がある。進行させないことが非常に大事で、健康づくりを意識してほしい」と話している。 (C)時事通信社