【ワシントン時事】米連邦最高裁は13日、経口妊娠中絶薬の使用に対する異議申し立てについて、9人の判事全員が一致して却下する判断を下した。中絶を「憲法上の権利」と認めた判例を最高裁が2022年に否定して以降、中絶の是非は米政治の一大争点となっている。11月に大統領選を控え、今回の判決は中絶反対を掲げる保守派に打撃となった。
 この中絶薬は「ミフェプリストン」で、米国内で広く使われている。中絶反対団体が米食品医薬品局(FDA)を相手に中絶薬の使用制限などを求める訴訟を起こした。
 最高裁を代表して意見を書いたカバノー判事は「ある医薬品を他人が入手しづらくなるようにしたいという願望は、訴訟適格を確立するものではない」として、原告には訴える資格がないと判断した。
 バイデン大統領は判決後に声明で「女性は引き続きこの薬を使用することができる」と強調した。その上で「判決は、(中絶を含む)生殖に関する自由を求める闘いが続いているという事実を変えるものではない」と述べた。 (C)時事通信社