不妊の要因にも=子宮の内側が癒着―アッシャーマン症候群
子宮内の組織同士が癒着してしまうアッシャーマン症候群は症例数が少なく、命に関わる病気でないこともあり、広く知られてはいないが、不妊の要因になると言われている。順天堂大学医学部付属順天堂東京江東高齢者医療センター(東京都江東区)婦人科の斉藤寿一郎科長に話を聞いた。
◇人為的な操作が原因
アッシャーマン症候群は、流産手術や分娩後の処置など、子宮内で何らかの人為的な操作が行われた場合に起こると言われている。「最近は、子宮内の病変を切除するのに子宮鏡という専用の細い内視鏡が使われます。100回に1回あるかないかという低い確率ですが、子宮鏡手術の後にアッシャーマン症候群が起こるケースも見られます」と斉籐科長は言う。
子宮内が癒着すると、正常な排卵があっても月経血の量が極端に少なくなり、場合によっては無月経になる。さらに子宮内膜が成長できないため、受精卵が着床しにくく、不妊の原因となる。痛みなどの生活に支障を来す症状がないため、おかしいと感じながらも見過ごしてしまうケースも少なくなさそうだ。
「命に関わる状態ではありませんが、生殖に大きく関わります。発見が早ければ早いほど治療はしやすいので、妊娠を希望している人は絶対に放置してはいけません」と斉籐科長は警告する。
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(2016/09/10 15:56)