米・Baylor College of MedicineのChristie M. Ballantyne氏らは、LDLコレステロール(LDL-C)とトリグリセライド(TG)がともに高値である混合型脂質異常症の成人患者353例を対象に、肝臓でのアポリポ蛋白C3(apoC3)の発現を抑制する低分子干渉RNA(siRNA)薬plozasiranの安全性と有効性を第Ⅱb相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)MUIRで検討。プラセボ群と比べ、plozasiran群で24週時点の空腹時TG値が有意に低下し、安全性は両群で同等だったとN Engl J Med(2024年5月28日オンライン版)に発表した。(関連記事「混合型脂質異常症、zodasiranで改善」)
apoC3標的のplozasiran 10mg、25mg、50mgをプラセボと比較
MUIR試験の対象は、空腹時TG値が150~499mg/dLかつLDL-C値が70mg/dL以上またはnon-HDL-C値が100mg/dL以上の混合型脂質異常症を有する18歳以上の患者353例(平均年齢61歳、男性56%、平均BMI 32)。plozasiran 10mg/25mg/50mgまたはプラセボを1日目と12週目に皮下投与(年4回投与)する第1~3コホート、plozasiran 50mgまたはプラセボを1日目と24週目に皮下投与(年2回投与)する第4コホートを設定し、各コホートにおいて患者をplozasiran群とプラセボ群に3:1でランダムに割り付けて48週間追跡した。
主要評価項目は、投与開始後24週時における空腹時TG値のベースラインからの変化量とし、プールしたプラセボ群と各plozasiran群で比較した。
全用量plozasiran群でTG値低下、77~92%が正常化
解析の結果、24週時点でプラセボ群と比べ、全ての用量のplozasiran群で空腹時TG値の有意な低下が認められ、ベースラインからの変化量のプラセボ群との最小二乗平均差は、plozasiran 10mg年4回投与群で-49.8%ポイント(95%CI -59.0~-40.6%ポイント)、25mg年4回投与群で-56.0%ポイント(同-65.1~-46.8%ポイント)、50mg年4回投与群で-62.4%ポイント(同-71.5~-53.2%ポイント)、50mg年2回投与群で-44.2%ポイント(同-53.4~-35.0%ポイント)だった(全てP<0.001)。
plozasiranによる空腹時TG値低下効果は投与開始後4週時点から認められ、48週(最終投与後36週)時点でも維持されていた。また、24週時点でplozasiran群の大部分が空腹時TG値の正常化(150mg/dL未満)を達成していた(10mg年4回投与群79%、25mg年4回投与群92%、50mg年4回投与群92%、50mg年2回投与群77%)。
有害事象は同等、50mgで血糖コントロール悪化
副次評価項目とした24週時点のapoC3、non-HDL-C、apoB、LDL-C、探索的評価項目としたTGを豊富に含むレムナントはプラセボ群と比べplozasiran群で低下しており、HDL-Cはplozasiran群で上昇していた。
全体的な有害事象の発現率はプラセボ群とplozasiran群で同等だった。血糖コントロール悪化の割合は、プラセボ群の10%に対しplozasiran 10mg年4回投与群で12%、25mg年4回投与群で7%だったが、50mgでは年4回投与群で20%、年2回投与群で21%と高かった。
以上を踏まえ、Ballantyne氏らは「混合型脂質異常症の患者においてplozasiranは、投与後24週時点の空腹時TG値をプラセボと比べ有意に低下させた」と結論。「今後は、アテローム動脈硬化性心血管疾患のリスクに対するplozasiranの効果を第Ⅲ相試験で検討する必要がある」と付言している。
(太田敦子)