寿命が半年弱しかないアフリカ原産の小型淡水魚を対象に、受精卵が成長した胚の段階で精子や卵子をできなくする遺伝子操作実験を行ったところ、雄は寿命が延び、雌は縮む結果となった。大阪大と九州大、群馬大の研究チームが16日までに米科学誌サイエンス・アドバンシズに発表した。
大阪大微生物病研究所の石谷太教授は「寿命に生殖細胞が関与していることが示された。人を含む多くの動物で寿命に雌雄の差があるメカニズムを解明する手掛かりになる」と話している。
この小魚は「ターコイズキリフィッシュ」と呼ばれ、体長4センチ程度。短い雨期に出現する池で卵からかえって急成長し、交尾、産卵、老化を経て死ぬ。卵は池が干上がる乾期を休眠状態でしのぎ、次の雨期にかえる。通常は人と同様に雌の方が雄より寿命が長い。実験用マウスの寿命が2~3年であるのに対し、寿命が非常に短いため、老化研究に近年利用されるようになった。
実験の結果、精子ができない雄は肝臓でビタミンDの合成が活性化し、筋肉や骨、皮膚のコラーゲンが増えて老化が抑制されることが判明。卵子ができない雌は女性ホルモンのエストロゲンが大幅に減少するとともに、体の成長が続くことでかえって酸化ストレスなどが大きくなり、老化が進んだ。 (C)時事通信社
生殖細胞が寿命に影響=短命小魚で遺伝子操作実験―大阪大
(2024/06/17 07:04)