日常的に家族の世話や介護を担う「ヤングケアラー」の状態が思春期に長期間続くと、メンタルヘルス不調を訴えるリスクが高まるとの調査結果を、東京都医学総合研究所や東京大の研究グループが14日までに発表した。家族のケアを担っていない児童と比べ、抑うつ症状や自傷行為を経験した割合が高かった。研究グループは「学校や公的機関が早い段階で気付き、負担を減らす支援をすることが重要」としている。
 都医学研の西田淳志・社会健康医学研究センター長らは、2002年9月~04年8月に生まれた都内の児童2331人に対し、10、12、14、16歳の四つの時点を追跡調査。各時点で病気などを抱えた家族の世話について、「毎日もしくはほぼ毎日」と回答した児童をヤングケアラーと定義し、メンタルヘルスとの関係を分析した。
 その結果、「毎日もしくはほぼ毎日」と回答した割合は各時点で約3%だった。2年以上ヤングケアラーの状態だった児童は、ケアに携わっていない児童と比べると、14歳時点の抑うつ状態が2.49倍、16歳時点では自傷行為が2.51倍、自殺を想像・計画する「自殺念慮」は2.06倍に上った。
 西田センター長は、ヤングケアラーの状態は「祖父母との同居」の世帯が長期化しやすいと指摘。地域包括支援センターなどのサポートが重要だとした上で、学校に対しても「先生と児童の信頼関係を高め、児童が助けを求めやすい居場所をつくることが必要」と話している。 (C)時事通信社