中国・Xi'an Jiaotong UniversityのJianbin Guan氏らは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)データを用いたメンデルランダム化(MR)解析により、ドライフルーツの摂取と2型糖尿病との関連を検討。その結果、両者の因果関係が示され、ドライフルーツ摂取量の増加に伴い2型糖尿病リスクが低下したNutr Metab2024; 21: 46)に発表した(関連記事「膝OAのリスク、ドライフルーツで低下」)。

UK BiobankとIEU OpenGWASのデータで2サンプルMR解析 

 ドライフルーツは砂糖を多く含むという懸念がある一方で、ビタミンやミネラル、食物繊維を含み、食事の栄養バランスを高める可能性がある。品質保持期間も長く、健康的な間食として人気が高まっている。

 Guan氏らは今回、UK Biobankからドライフルーツの摂取データ(42万1,764例)、IEU OpenGWASから2型糖尿病のデータ(症例群6万1,714例/対照群59万3,952例)を取得。ドライフルーツ摂取と独立した強い関連を示す36の一塩基多型(SNP)を操作変数とし、2サンプルMR解析によりドライフルーツ摂取と糖尿病との関連を検討した。

1日1.3個のドライフルーツ摂取増加でオッズ比0.39のリスク低下 

 逆分散加重(IVW)法による解析の結果、ドライフルーツ摂取と2型糖尿病との間に因果関係が示された。ドライフルーツ摂取量が多いほど2型糖尿病リスクが低く、ドライフルーツ摂取量が1標準偏差(1日1.275個)増加するごとに糖尿病リスクが低下した(オッズ比0.392、95%CI 0.241~0.636、P=0.0001)。重み付き中央値(weighted median)法による解析結果でもIVW法と同様だった(同0.468、0.306~0.717、P=0.0003)。

 感度分析では、Cochran's Q-testにより操作変数間の有意な異質性が示された(IVW法によるP=7.84e-16、MR-Egger法によるP=3.904e-16)。一方、MR-Egger intercept testではドライフルーツ摂取と2型糖尿病との関連に水平多面発現性(horizontal pleiotropy)は示されず(MR-Egger intercept=-0.0025、P=0.86)、leave-one-out法によりMR解析結果の信頼性は高いことが示された。出版バイアスに関しては、funnel plotで対称性の分布が示された。

 Guan氏らは「今回の結果は欧州人のGWASデータによるものであり、他の集団には当てはまらない可能性がある」と研究の限界を指摘。その上で「適量のドライフルーツ摂取は2型糖尿病の初発予防になる可能性がある」と結論している。そのメカニズムは十分に解明されていないものの、「ドライフルーツに含まれるビタミン類(ビタミンE、ナイアシン、コリン、葉酸)、ミネラル類(マグネシウム、カリウム、カルシウム、リン)、フェノール類、カロテノイドなどの生理活性物質が、2型糖尿病リスク低下に重要な影響を及ぼしている可能性がある」と説明している

(太田敦子)