名古屋大大学院の研究グループは3日までに、蚊のヒトスジシマカとネッタイシマカのオスが、羽音を聞き分けて同種のメスを判別していたとする実験結果を米科学誌アイサイエンスに発表した。
デング熱などの感染症を媒介する蚊は世界中で生息域が拡大。中でもネッタイシマカは病気を媒介する確率が高いとされ、効果的にオスを集める装置の開発が進めば、繁殖制御につながる可能性がある。
海外の一部地域ではヒトスジシマカとネッタイシマカが共存しているが、異種間での交配はなく、理由は不明だった。研究グループが、羽音の周波数を計測したところ、オスとメスのいずれも、ヒトスジシマカがネッタイシマカよりも34ヘルツ高いことが判明した。周波数を変えながらスピーカーで人工の羽音を流したところ、オスは同種のメスの羽音に近い周波数のみに反応しスピーカーに集まった。
日本に生息しているのは主にヒトスジシマカだが、研究グループの上川内あづさ教授は「(地球温暖化により)ネッタイシマカも日本で生息する可能性がある」と指摘。「(蚊の繁殖を防ぐ)新しいツール開発は、世界的な最重要課題の一つ」と意義を強調している。 (C)時事通信社
オスの蚊、羽音でメス判別=繁殖抑制で感染症対策に期待も―名古屋大
(2024/09/03 18:04)