後発医薬品(ジェネリック)があるのに特許切れ先発薬を希望する患者の窓口負担が、10月からの制度改正で引き上げられる。効能が同じで価格も安い後発薬の使用を強く促し、医療費抑制を図る狙い。対象となる1095品目には、なじみのある保湿塗り薬や湿布も含まれる。負担増で混乱しないよう、薬局や医療機関などは注意を呼び掛けている。
 制度改正では、先発薬と後発薬の価格差の4分の1を保険適用外とし、原則1~3割の患者負担に上乗せする。ただし、医師の判断で先発薬を処方するケースや、薬局に後発品の在庫がないときは対象外となる。
 政府が後発薬の使用を促してきた結果、数量ベースでの普及率は約8割に到達。ただ、金額を基準にすると2023年時点で56.7%にとどまる。今後も高齢化の進展で医療費が増え続けるため、先発薬をあえて希望する患者には追加負担を求める。
 追加負担の対象となる先発薬1095品目は、後発薬の発売から5年以上が経過したか、後発薬の使用割合が50%以上になったとの基準で選定。乳幼児やアトピー性皮膚炎の患者に処方される保湿塗り薬「ヒルドイド」のほか、花粉症薬「アレグラ」や湿布薬「モーラスパップ」など身近な薬も多く含まれる。
 例えば、3割負担の人が軟こうのヒルドイド(1グラム18.5円)を300グラム処方される場合、10月からの窓口負担は2439円で774円高くなる。厚生労働省は制度改正により、国費110億円(平年度ベース)が浮くと見込む。この財源は創薬支援に充てることを検討する。
 先発薬と後発薬は有効成分が同じでも添加剤は異なる。「塗り薬や湿布は先発薬の方が使い心地が良い」という患者もいるため、薬局や医療機関などは追加負担の趣旨を丁寧に説明している。 (C)時事通信社