京都大病院は30日、同性パートナーをドナー(臓器提供者)とする生体腎移植を同病院で初めて実施したと発表した。生体臓器移植は原則として親族間でしか認められておらず、公表は初めて。レシピエント(移植患者)、ドナーとも術後の経過は良好で、既に退院したという。
同病院によると、2人はいずれも京都市在住の女性で、2019年3月から同居。同性パートナーとして同市のパートナーシップ宣誓制度に申請し、23年8月に受理された。
レシピエントは22年ごろ慢性腎不全と診断され、23年7月に同病院を受診。腎不全が進行して腎移植や血液透析が必要となることが判明し、ドナーが生体腎移植を希望した。
ただ、日本移植学会倫理指針は、生体臓器移植を原則として6親等以内の血族か3親等以内の姻族しか認めていない。同病院は京都大の倫理委員会と日本移植学会の承認を受けた上で、24年5月にドナーの左腎臓をレシピエントの右下腹部に移植する手術を行った。
移植した腎臓の機能は良好で、レシピエントは24年1月から受けていた血液透析をやめ、手術から3週間後に退院。ドナーも1週間後に退院したという。2人は「同様の境遇で移植できないと諦めている患者に希望の光が当たればうれしい」とのコメントを出した。
記者会見した同病院泌尿器科の小林恭教授は「性的少数者という理由で諦めている患者にとって有益な前例となる可能性があり、公表する意義があると考えた」と説明した。 (C)時事通信社
同性パートナー間で生体腎移植=公表は初めて―京都大病院
(2024/09/30 19:07)