自民党は17日、厚生労働部会などの合同会議を開き、政府が通常国会への提出を目指す年金制度改革関連法案を議論した。厚生年金の積立金などを活用して基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする方策について、厚労省が断念する修正案を提示したが賛否は割れた。政府は与党の了承を取り付けて、月内の国会提出を目指すが決着点は見通せていない。
 基礎年金底上げ策は、少子高齢化の影響で長期にわたって目減りが続く将来世代の年金水準を改善するのが狙い。今回の改革法案の目玉だったが、財源に厚生年金の積立金と国費を充てるため、高齢世代が受け取る厚生年金の一時的な受給減や将来的な増税の可能性が懸念されていた。
 改革法案は今国会の「重要広範議案」とすることで与野党が合意しているにもかかわらず、基礎年金の底上げ策を巡って自民党内の意見集約が難航。厚労省は事態を打開するため、厚生年金などを活用した底上げ策を見送る。しかし、同日の会議でも一部議員が「与野党で(年金制度の)抜本改革を議論すべきだ」などと主張して、政府が提出を目指す案への反対論は収まらなかった。 (C)時事通信社