研修医こーたの出来たてクリニック

AIに取って代わられる?
医師に不可欠な役割とは

 「自分の職業は近い将来、人工知能(AI)に取って代わられてしまう?」-。こんな不安を誰しも一度は抱いたことがあるのでは。今年度から医師として働き始めた私もその1人です。現行制度では、医師は3年目にどの科へ進むのかを選択します。ゆえに1年目の医師である私たちは、将来どのような科に需要があるのか、そして取って代わられてしまう科はどこなのかといったことについて話す機会が多いです。

「上手く使うか、職を奪われるか 人間にしか出来ないことを模索する」

「上手く使うか、職を奪われるか 人間にしか出来ないことを模索する」

 ◇肺がん検診の読影能力を比較

 そんな中、とても興味深いニュースが耳に入ってきました。Googleが開発した肺がん検診AIと放射線科の医師6人がコンピューター断層撮影(CT)画像を読影し、比較する実験が行われました。その結果、AIは医師に比べて偽陽性を11%減らしながら、がんを5%多く診断しました。

 人間が自然に行うタスクをコンピューターに学習させるという機械学習の手法の一つであるディープラーニングが進歩し、画像認識の分野においてAIは人間の認識能力を超えたと言われています。

 今後はCTだけでなく、単純X線検査(レントゲン)画像や磁気共鳴画像装置(MRI)検査にも応用されるのではないでしょうか。また、画像分野だけではなく、医療診断や治療選択分野での研究開発も加速しています。学習や経験による能力で、AIが医師を上回るのは時間の問題だと思われます。

 ◇AIと「責任の所在」

 しかし、医師という職業は今後も無くならないと、私は考えます。なぜなら世の中が「責任の所在」に厳しいからです。AIは責任を取ることはできません。そのため誰かしら管理者を置く必要があります。先ほどのCT画像を読むAIもスクリーニングとして使われ、放射線科医がそれを最終判断するという、補助的な使用に限られると考えられます。

人工知能(AI)を取り上げた教科書(東京都千代田区、2019年03月19日)【時事】

人工知能(AI)を取り上げた教科書(東京都千代田区、2019年03月19日)【時事】

 約800万人の団塊世代が後期高齢者となることで超高齢化社会に突入し、一時的に医師の需要は高まりを見せるでしょう。しかし、そこを皮切りに人口は一段と減少していくため、医師も競争が激しくなります。

 さらに、AIへの仕事の振り分けが可能になれば、医師1人当たりで責任をもって診察できる患者さんが増え、AIを使いこなせない医師はAIに取って代わられる事態が予想されます。

 ◇これからの医師

 これからの若手医師にとってAIへの順応は、生き残る上で必要不可欠でしょう。そしてAIにはできない、人間だからできることの模索も同様に必要です。「患者に寄り添い、心のよりどころになること」を第一に考えて、日々の診療に取り組んでいこうと考えています。

参考文献
「A promising step forward for predicting lung cancer」 (2019年6月15日アクセス)


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