進歩する白内障手術
ライフスタイルで眼内レンズ選択
3焦点眼内レンズによる見え方=日本アルコン提供
◇遠く、中間、近くに対応
多焦点レンズはこれまでは2焦点だったが、10月下旬に3焦点レンズが国内で初めて発売された。宮島教授によれば、治験では5メートルの「遠方」、60センチの「中間」、40センチの「近方」の3段階で両眼による視力が1・0だったという。遠方は遠くの景色が見え、中間は例えばテレビの画面を見たり、読書をしたりすることができる。近方はパソコンの画面が見やすい。一方、2焦点レンズでは中間が見えにくかった。
3焦点レンズにも欠点がないわけではない。「グレア・ハロー」といい、強い光をまぶしく感じたり、光の周辺に輪がかかって見えたりすることがある。また、光のコントラストの感度が低下することもある。
東京歯科大学水道橋病院のビッセン宮島弘子教授
宮島教授は「事前に患者に説明する必要がある」と指摘。コンタクトレンズや眼鏡のない生活を希望して3焦点レンズを入れ、グレアハローなどがあったが「日常生活に不便は感じなかった」と言う60代後半の女性の例を紹介した。
◇日常生活での優先度
宮島教授は「日常生活で、どのあたりが見えたらよいか、という患者の希望が大切だ」とした上で、「三つの距離がすべてクリアに見えなければならない、というわけではない。単焦点レンズで眼鏡を使ってもよいだろう。患者のライフスタイルの観点から考えてほしい」とアドバイスした。(鈴木豊)
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(2019/10/31 07:00)