治療・予防

手術以外の選択肢―腎がんの凍結療法
高齢や合併症ありでも

 腎臓にできる腎がんは、高齢化とともに増加傾向にある。手術が難しい患者に対しては凍結療法という選択肢があり、近年普及しつつある。東京慈恵会医科大学付属柏病院(千葉県柏市)泌尿器科の柳沢孝文診療医長は「あくまで手術が基本ですが、がんが小さければ凍結療法が可能な場合もあります。手術以外にも治療の可能性があるのです」と話す。

凍結療法は手術が難しい腎がん患者の治療選択肢となる

 ▽偶然の発見が8割

 腎がん(腎細胞がん)は毎年10万人に約8人程度と、がんの中では頻度が低いものの、高齢化に伴い増加傾向にある。40代から80代が主体だが、30代以下での若年発症もみられる。男女比は2対1で男性に多い。

 腎がんが大きくなると、血尿、腹部のしこり、腹痛などの症状が表れるが、初期には自覚症状はなく、「人間ドックや別の病気で検査を受けたときに偶然見つかるケースが、全体の約8割を占めます」と柳沢医師。

 腎がんの早期発見には超音波検査が有効だが、診断を確定するためには造影剤を使ったコンピューター断層撮影(CT)検査を行う。

 腎機能の低下した患者は造影剤が使用できないため、造影剤を使わない磁気共鳴画像装置(MRI)検査を選択する。これらの画像検査で診断が難しい場合は、腫瘍の組織を採取して検査する。

 ▽針で凍結と解凍
 治療はがんの場所や大きさにもよるが、腫瘍部分のみを摘出し、腎臓の正常な部分をできる限り残す腎温存手術が基本となる。がんの大きさが4センチ以下(小径腎がん)で、高齢や合併症で全身麻酔のリスクが高い場合、凍結療法が選択肢となる。

 凍結療法は放射線科医が行う。局所麻酔後に、うつぶせの状態で背中から直径約1.5ミリの細い針を刺す。急激な温度変化に弱いがんの性質を利用し、刺した針でアルゴンガス(マイナス80℃)による凍結とヘリウムガスによる解凍(25℃)を2回繰り返す。治療中に痛みを感じることもなく、治療後は針の痕にテープを貼るだけだ。

 2011年7月に小径腎がんに対する凍結療法が保険適用となり、同病院では今年3月までに256人に凍結療法を行っている。現在、凍結療法が可能な医療機関は全国に20施設ほど。

 柳沢医師は「がんの残存や再発が10%程度ありますが、再凍結もできます。高齢化が進むにつれ、今後は需要が増えていくと予測されます。手術のリスクが高い高齢者でも、凍結療法という選択肢があることをぜひ知ってください」と強調している。(メディカルトリビューン=時事)

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