治療・予防

皮膚科で適切な治療を―背中のニキビ
マラセチア毛包炎との区別がカギ

 背中が大きく開いた服や水着の着用時など、肌の露出度が高いと背中のニキビが気になる。背中に自信が持てるようにするにはどうしたらよいか、ふくずみ皮フ科形成外科(大阪市)の吹角善隆院長に聞いた。

自己判断せずに、皮膚科で適切な治療を受けるのが大事

自己判断せずに、皮膚科で適切な治療を受けるのが大事

 ▽自己判断は危険

 ニキビは、たまった皮脂などが毛穴をふさぐことにより、毛包や皮脂腺に炎症が生じる皮膚の病気だ。通常、皮脂は皮脂腺から分泌され、皮脂膜を形成して皮膚の表面を覆い、皮膚を健康な状態に保っている。

 ところが、毛穴の中で古くなった角質が皮脂と混ざり合って角栓となり、それが大きくなると、毛穴が詰まって皮脂が行き場を失う。これが、面ぽうというニキビの初期段階である。

 皮脂がたまった毛穴では、皮膚の常在細菌であるアクネ菌が過剰に繁殖して炎症を起こし、炎症性の赤いニキビになる。

 背中の上部は皮脂の分泌が活発なので、ニキビができやすい。一方で、マラセチアというかびの一種が原因で生じるマラセチア毛包炎ができやすい場所でもある。マラセチア毛包炎は背中や肩などに小さな赤い発疹が生じ、かゆみを伴う。発疹の先端にうみがたまることもある。「見た目がニキビとそっくりなので、ニキビと思い込み、市販のニキビ治療薬を使用する人が少なくありません。しかし、原因となる菌が異なるので治らず、逆にかゆみが増すことがあります」と吹角院長は注意を促す。

 ▽清潔保ち生活の見直しを

 背中のニキビの治療では、マラセチア毛包炎などでないことを確認した上で、適切な抗生物質外用薬を塗ることが重要だという。場合によっては、抗生物質を内服することもある。

 また、高温多湿の環境は好ましくないため、汗をかいたらすぐに拭く、小まめにシャツを替える、シャワーを浴びるなど、肌を清潔に保つことが大切だ。ナイロンタオルなどで体を強く洗うと、皮膚を覆う皮脂が落ち過ぎて乾燥肌となり、症状が悪化しやすくなる。軟らかいタオルなどで、皮膚をこすらないように洗うとよい。

 さらに、ストレスなどによるホルモンバランスの乱れ、日焼け、喫煙、飲酒などは、肌が荒れる原因となる。「肌が荒れると、ニキビができやすくなるので要注意です」と吹角院長。

 「治療を始めて1~2週間で症状は改善します。背中の吹き出物が気になるようであれば皮膚科を受診し、ニキビかマラセチア毛包炎か診断の上で治療を受けることが大切です」と話している。(メディカルトリビューン=時事)


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